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連邦議会、高齢者所得法案を可決

 連邦議会は5月28日(金)、両院協議会で合意した年金課税妥協案に基づく高齢者所得法案を可決した。野党は反対したが、連邦参議院では法案成立を阻止しない意向である。キリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)が連邦議会で両院協議会の妥協案に同意しなかったのは、まだ党内に更なる改善を求める声が大きかったためである。CDU/CSUは、高齢者所得法案が夏休み前に成立するものと見ている。(2004年5月3日と5月18日のニュースを参照)

 両院協議会は5月25日(火)、年金課税妥協案で合意した。それによると、2005年1月1日以降に新規契約した生命保険の収益に対する課税率は、契約期間が12年以上で、5年以上保険料を払っており、被保険者が60歳以上になってから保険金が支払われる場合には、所得税率の半分とする。この条件を満たさない生命保険の収益は所得税を課せられる。さらに、収益は「5等分規定」に基づいて課税される(収益を5年間に配分して課税)。与党は生命保険の税制上の優遇措置を廃止して、生命保険の収益に対して所得税を課す計画であった。

 生命保険会社は、生命保険が将来も重要な老後の備えになるとして、両院協議会の妥協案を歓迎した。法律は2005年1月1日以降に新規契約した生命保険に適用されることから、2004年末まで新規契約が急増するものと期待している。しかし、生命保険会社は新しい商品の開発を余儀なくされており、今後、法定年金保険に類似した年金保険商品を強化するものと予想される。

 政府顧問のリュールップ教授は、生命保険は原則的に投資ファンドと同じように扱われるとして、妥協案に満足感を示した。

 連邦参議院は6月11日に高齢者所得法案を採決するが、可決は確実と見られている。

20045月31日)

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