オバサンの独り言

 みどりこさんの住む町のギムナジウムでは、親御さんが、「登校してから下校するまでの長い時間、禁煙などというきつい事、子供にそんな無慈悲な事はできない」という理由で、学校における禁煙に反対したとか (カフェーパウゼの5月24日付け投稿)。

 最近のドイツ人らしいなあと思いながら読んでいたら、南ドイツ新聞にはバイエルン州政府が2008年までに「学校内における全面禁煙」を目指すプロジェクトを開始するという記事が載っていた。来学期から、28校がプロジェクトに参加する。全面禁煙にはもちろん教員室も含まれ、生徒と親と教員の任意の合意に基づいて禁煙を実施するという。

 法律は16歳以下の子供の喫煙を禁止している。しかし、実際には、タバコを吸い始める平均年齢が11,6歳に低下しており、12〜25歳の年齢層の約40%がタバコを吸っているらしい。世界保健機構によると、長期喫煙者の半分はタバコが原因で死亡しているという。それにもかかわらず、ドイツでは毎日、約3億7000万本のタバコが消費されている。

 現代の子供たちは「成績万能主義に由来する心理的圧迫」(ドイツ人の大好きな言葉 Leistungsdruck のこと)を受けてかわいそうだと叫ぶ親に限って、自分の子供の成績が悪いと、教師の教え方が悪いからだと、我が子の怠慢さを教師のせいにする。能力などに関係なく、我が子を無理やりギムナジウムに入れて、家庭教師をつけて子供の尻をたたく。落第しそうになったら、親が裁判にかけるから大丈夫だと公言する子供さえいる。

 この大きな矛盾を平気で堂々と実行している親が、学校でタバコを吸えないのは非人間的だと考えるのは無理もないかもしれない。我が子が肺がんになったら、タバコ会社のせいだと責任転嫁するのがこの種の人たちだ。人権だ、自由だと主張するだけで、責任や義務を忘れている親の子供が聖水の器を灰皿代わりに使っても、その子供を責めることはできないだろう。親の躾ができていないのだから。

 今では、国際線も機内は全面禁煙である。文句なしに禁煙である。下校までの間にタバコを吸えないのはかわいそうだとおっしゃる親御さんたちは航空会社にも文句を言うのだろうか。かわいい我が子が機内でタバコを吸えないのは人権に反すると・・・。

20045月31日)

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