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ボンの再生可能エネルギー国際会議が閉会

   ボンで6月1日から4日まで開催された2004年度再生可能エネルギー国際会議は、2015年までに世界の10億人が再生可能エネルギーを利用できるようにすることなどを目標とする政治宣言を採択し、広範な活動計画を発表して、閉会した。トリティン連邦環境相は、この活動計画の165の個別プロジェクトがすべて実施されれば、二酸化炭素排出量を年間約12億トン削減することができると語った。但し、活動計画は任意であり、拘束力はない。この国際会議には世界154カ国から約3000人の代表者が参加した。米国も参加したが、ロシアは参加しなかった。

 シュレーダー首相は会議の席上、現在の石油高騰に対する正しい答えはエネルギーの効率的利用と再生可能エネルギーの拡大にあると語った。世界経済の一方的な石油依存はテロに対する弱点を拡大することになるので、風力、水力、太陽、バイオマスなどの再生可能エネルギーの利用促進は安全保障にも貢献すると評価した。

 また、シュレーダー首相は、低金利貸付により開発途上国における再生可能エネルギー利用を促進するために、連邦の復興金融公庫が最高5億ユーロ規模の特別ファンドを提供すると発表した。さらに、私経済に対して、この将来有望な市場でイニシアティブをとるよう呼びかけた。EUも民間の投資を促すために、7500万ユーロ規模のファンドを提供して、開発途上国におけるプロジェクトを支援する。また、世界銀行も再生可能エネルギー促進とエネルギーの効率的利用のための資金援助を今後5年間に20%ずつ増やし、2010年までに4億ドル以上に倍増すると発表した。

 現在の石油急騰ゆえに、ドイツ国内でも再びエネルギー政策論争が活発になっている。キリスト教社会同盟(CSU)は、核エネルギーからの完全撤退はエコロジー的にもエコノミー的にも正当化できないとして、原子力発電からの撤退の撤回を求めた。但し、新しい原子力発電所の建設は現時点では考えていないとして、核エネルギーと再生可能エネルギーを含めた広範なエネルギーミックスが有意義であるとしている。キリスト教民主同盟(CDU)も同じ見解である。自由民主党(FDP)も核エネルギーのオプションを将来も保持すべきだとしている。それに対して、与党は原子力発電への逆戻りを拒否している。

 一方、鉱業・化学・エネルギー産業労働組合のシュモルト委員長は、連邦政府と電力産業が合意した原子力発電からの撤退に疑問を投げかけている。この合意は現行の技術に基づくものであり、独ジーメンス社と仏フラマトム社が開発している次世代原子力発電技術が環境への悪影響を防止できるのであれば、原子力発電も含めたエネルギーミックスを検討すべきだとしている。政治的決定は永久の決定ではないと語った。エネルギー産業は原子力発電論争に控え目であるが、原則的に、既存原子力発電所の運転年数の延長をポジティブに評価している。

2004年6月7日)

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