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欧州議会選挙でもSPDが惨敗

 欧州連合加盟国25カ国で欧州議会選挙が実施されたが、ドイツでは社会民主党(SPD)が得票率を30,7%から21,5%に9,2ポイント減らして惨敗した(10議席失って23議席)。SPDのドイツ全国レベルの選挙では過去最低の結果となった。キリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)も得票率を48,7%(1999年)から44,5%に4,2ポイント失ったが、49議席(4議席減)を獲得して第1党を守った。ドイツは欧州議会で99議席を有する。投票率は過去最低の約43%だった。1999年は45,2%。

 緑の党は得票率を6,4%から11,9%にほぼ倍増し、13議席(6議席増)を獲得した。自由民主党(FDP)は得票率を3%から6,1%に伸ばして7議席を獲得し、10年ぶりに欧州議会に復帰した。民主社会党(PDS)も得票率を5,8%から6,1%に伸ばして7議席(1議席増)を獲得した。

 今回の欧州議会選挙では連邦政府の内政が有権者の決定に大きく影響したようで、連邦政府に対する抗議選挙となった。低い投票率からも市民の関心の薄さと不満が現れており、今後、欧州政策と欧州議会の重要性を国民にアピールすることが課題として残された。  

 メルケルCDU党首は、ドイツの選挙結果はSPDと緑の党の連立政権がドイツ国民の支持を得ていないことの表れであり、政権交代への明らかなシグナルであると語った。テューリンゲン州議会選挙と欧州議会選挙の勝者はCDU/CSUで、2年後に総選挙を控えるメルケルCDU党首の計画が着実に進行していると評価されている。

 それに対して、ミュンテフェリングSPD党首は、連邦政府の改革路線に対する有権者の信頼を得ることができなかったと語った。シュレーダー首相は歴史的な大敗にもかかわらず、改革路線を継続することを明らかにした。内閣改造も計画していないという。

 EU全体の暫定選挙結果によると、キリスト教民主・保守系の中道右派「欧州人民党」EVP(ドイツのCDU/CSUが所属)が276議席を獲得して最大政党を維持した。第2党は社会民主系の中道左派「欧州社会党」SPE(SPDが所属)で201議席を獲得した。第3党は自由民主系の中道右派「欧州リベラル」LIBE(FDPが所属)で66議席、第4党の緑の党は42議席を獲得した。欧州議会の議席数は全部で732議席。投票率は過去最低の45,5%であった。

 今回の欧州議会選挙はどの加盟国でも自国政府の内政に対する抗議選挙となり、各国の与党が得票率を大きく減らし、野党が得票率を伸ばした。また、欧州連合に反対ないし懐疑的な政党も議席を増やした。

 欧州議会選挙結果は次の欧州委員会委員長選出にも影響を及ぼすと見られている。EVPのポェットリング党議員団長は、シュレーダー首相が推すベルギーのフェルホフシュタット首相はEVPが信頼する人ではないとして、次の欧州委員会委員長は保守党から選出されるべきであると語った。ルクセンブルクのユンカー首相とオーストリアのシュッセル首相を有力候補に挙げている。

2004年6月14日)

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