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連邦内閣、2005年度連邦予算案を決定

 連邦内閣は6月23日(水)、2005年度連邦予算案を決定した。アイヒェル連邦財務相は、この予算案は成長の推進力をもたらすと同時に、景気に適合した厳しい整理統合を目指すものであると語った。経済状況が改善した後に歳出を削減する意向で、現状ではさらなる節約措置をとらないことを明らかにした。

 予算案によると、歳出は2583億ユーロ、新規債務は220億ユーロ、連邦財産売却収入(民営化収入)は154億5000万ユーロ、投資は228億ユーロ。投資額が新規債務額を上回るので、予算案は合憲である。

 この連邦予算案は、ドイツ経済が2005年に1,5~2,0%成長することをベースにしており、アイヒェル財務相はこの成長目標を達成できると楽観的に見ている。また、ドイツテレコムとドイツポストの持ち株売却では、すぐに株式市場で売却するのではなく、連邦の復興金融金庫にプールし、株式市場の状況を見極めてから売却する計画である。ドイツテレコムとドイツポストの民営化は財政赤字を制限する唯一の道であるという。

 また、アイヒェル財務相は、2005年にマーストリヒト条約の「安定協定」(単年度財政赤字を国内総生産比3%以下に抑える)を守る意向であることを強調した。守れない場合には、必要な追加措置をとらなければならないという。ドイツは今年、3年連続で安定協定に違反する見通しである。

 野党と経済専門家は、「連邦予算案は完全に支離滅裂になった」として、全く非現実的な予算案を厳しく批判している。メルケルCDU党首は予算案を「スキャンダル」と評価した。ドイツテレコムとドイツポストの持ち株売却収入は本来、両社の公務員の年金を賄うための重要な連邦財産であり、財政赤字を埋めて合憲の予算案を作成するための資金ではないと批判している。

 また、ヴェーバー連邦中央銀行総裁は、民営化は収入効果だけをもたらし、持続的な整理統合のための適切な手段ではないと批判して、補助金と税制上の優遇措置の徹底した削減を政府に求めた。アイヒェル財務相の顧問であるペッフェコフェン氏は、2003年、2004年、2005年の予算案は意識して間違った前提に基づいていると批判した。収入項目を過大に見積もる一方で、支出項目を過小評価しているという。

20046月28日)

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