オバサンの独り言 サッカー欧州選手権でドイツは準々決勝にも進出できず、早々と敗退した。2002年のワールドカップでは実力よりも運に助けられて準優勝したが、今回は運にも見放されてしまったようだ。チェコのほとんどレギュラーのいないBチームに負けてしまったのだから、なんとも情けない。かつてのドイツサッカーの栄光はもはや見られない。 ユネスコのPISA調査結果や経済協力開発機構OECDの調査結果から、ドイツの教育水準の低下が指摘されたが、優良自動車ランキングでもドイツメーカーは苦戦している。経済大国を誇る優等生だったドイツが今ではマーストリヒト条約の「安定協定」も守れない落第生に格下げされてしまった。 そんな暗いニュースに追い討ちをかけるように、連邦内閣は2005年度連邦予算案を決定した。合憲性のために計算上の辻褄を合わせたことが見え見えの、最初から達成できないことが明白な予算案を平気で決定するところまでドイツは来ている。ドイツテレコムとドイツポストの将来の年金に充てなければならない連邦財産までも赤字の穴埋めに使おうというのだから、開いた口がふさがらない。 今のドイツは、過去の栄華を忘れられずに見栄を張っている斜陽貴族にどこか似ている。先祖から受け継いだ富を使い果たし、子供や孫の世代に莫大な借金を残している。その形振り構わぬパニック状態の政治家たちを見ていると、この国の行く末が思いやられる。 ドイツはなぜ、急激に変化する時代の流れに乗り遅れてしまったのだろうか。自負する伝統があったからかもしれない。サッカーでも教育制度でも経済でも、過去の栄光にしがみついてしまったがために、時代の変化に柔軟に対応できなかったのではないか。旧体制に反発して、古いものを壊してきた「68年世代」は、自らが政治、経済の主導権を握ったら、新しい時代の流れに適応できなくなってしまった。 ドイツの唯一の希望は、過去に縛られない若い世代である。 (2004年6月28日)
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