オバサンの独り言 サッカー欧州選手権でギリシャが開催国のポルトガルを下して初優勝した。アウトサイダーのギリシャが優勝するなんて、だれも夢にも思わなかったに違いない。そのギリシャが強豪フランス、チェコ、ポルトガルを次々に破って王座についたのだから、まさに快挙である。ジャーナリストが「おとぎ話が奇跡になった」と言っていたが、それほど予想外の優勝だった。 ギリシャのオットー・レーハーゲル監督はドイツ人だ。だから、ドイツチームが早々と敗退した後は、ドイツ人はスター選手のいない無名チームを率いてしぶとく勝ち抜いていくドイツ人監督にドイツサッカーの誇りを感じていたのではないだろうか。今や彼は「オットー二世」、「レハクレス」と呼ばれるギリシャの英雄だ。ドイツのサッカー監督輸出の大ヒット商品といえよう。 かつてレーハーゲル監督は全国リーグのブレーメンとカイザースラウテルンで、弱かったチームを一気に優勝に導いて専門家を驚かせた。ところが、スター選手の多い名門FCバイエルンでは彼は実力を発揮できなかった。最初からバイエルンのスター選手たちがレーハーゲル監督を受け入れなかったといわれる。 彼は無名選手の才能を巧みに引き出し、最大限に発揮させ、選手にやる気を奮い起こさせることができるのだろう。浪花節的な哲学を頑固なまでに貫き、信念を曲げない65歳のレーハーゲル氏は、無名チームの育成に最適な監督なのかもしれない。彼のサッカーは時代遅れだといわれてきた。しかし、今回の欧州選手権では、「明確な戦略と団結力」の古いサッカーが「独創性と攻撃」の新しいサッカーに勝ったのである。 フェラー氏が監督を辞任してから、ドイツサッカー界は次の代表監督を探しており、レーハーゲル氏の監督就任が望まれ ている。しかし、スター意識の強い選手の多いドイツチームで彼の浪花節的な哲学が受け入れられるかどうかは疑問だ。FCバイエルンの二の舞を踏むことになるのではないだろうか。 彼の古いサッカーを扱き下ろしていたマスコミや専門家が監督就任を待望している様子を見て、レーハーゲル氏はさぞやほくそ笑んでいることだろう。ドイツサッカーはドイツではなく、ギリシャで復活し、開花したのである。 (2004年7月5日)
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