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連邦内閣、保育促進法案を閣議決定

 連邦内閣は、シュミット連邦家族相が提出した保育促進法案を閣議決定した。この法律により、1991年に導入された児童・青少年援助法が改正され、2010年までに需要に応じた保育サービスが拡張される。特に旧西独における3歳以下の幼児の保育サービスが強化される。

 現在、旧西独では、保育園は幼児全体の2,7%にしか提供されていない。旧東独では37%。そこで政府は、2010年までに旧西独の3歳以下の幼児のために保育園の受け入れ人数を現在の約6万人から約23万人に増やす計画である。シュミット家族相は、3歳以下の幼児のための保育園受け入れを質的かつ量的に西欧の水準に改善することを目指していると語った。この法律は、子供が歓迎される国に変貌するために重要であるという。

 シュミット家族相の財源コンセプトによると、保育園における3歳以下の幼児の受け入れを拡大するために、市町村は年間約15億ユーロを投資しなければならないが、その資金にはハルツIV法による市町村の負担軽減分(25億ユーロ)が充てられる。しかし、ドイツ都市会議とドイツ市町村連盟は、各州政府が約束通りに25億ユーロを市町村に回すかどうか確実でない上に、ハルツIV法による負担軽減分は社会福祉・青少年援助などの領域に回さなければならないとしている。

連邦家族省は、保育サービス拡張のための市町村の支出は初年度が4億ユーロ、2年目が7億5000万ユーロで、2010年頃に15億ユーロ必要になると試算している。シュミット家族相は、連邦参議院が法案に同意するものと楽観的な見方を示した。

 それに対して、キリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)は、家庭と仕事の両立の改善だけでなく、子供の初期教育の促進を達成するためには法案は不十分であり、財源が確実でないと批判している。保育サービス拡張のためには広範な市町村財政改革が必要であるという。ザールランド州のゲルナー家族・社会相は、「考え方は正しいが、実施方法が悪い」として、約束を守れない法律には原則的に反対すると語った。連邦政府が市町村に追加資金を提供するなどの変更をしなければ、連邦参議院が法案を否決する可能性が高いと見られている。

2004年7月19日)

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