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成人した子供の人格権

   ラインランド・プファルツ州憲法裁判所は7月12日(月)、学校が成人した生徒の親にその生徒の重要な問題(落第、成績不振、退学など)に関する情報を与えることはその生徒の人格権を損なわないという判決を下して、18歳の生徒の憲法訴願を却下した。

 この生徒は、学校法の規定には「州法で保証されたデータ保護の権利に対する不相当の侵害」があるとして訴えていた。健全な家庭は自ずと子供の面倒を見ているが、会話のない、機能しない家庭には成人した子供の学校での問題への関心も期待できないと根拠付けていた。

 それに対して、州憲法裁判所は、成績不振、落第などの学校における特別な情報を成人した生徒の親に伝えることは、大人への移行期にある不安定な若者が衝動的行動(極端な場合には、狂暴に走り回って殺人を犯す)に走る危険を防ぐのに適していると判断した。

 子供の年齢に依存することのない、援助と配慮の相互義務は憲法で保証されている子供と親の関係に相応しており、この生涯賦与されている責任は未成年の子供に対する扶養権を超えている。国は、存在する家族関係を顧慮して、そこに事実上の援助を期待することができるとしている。

 ラインランド・プファルツ州は、エアフルトの19歳の生徒が学校内で16人を殺して自殺した事件の後、学校と親のコミュニケーションを改善するために学校法を改正した。それまでの学校法では、成人した子供の親は、その子供が反対しなかった場合にのみ、情報を得ることができた。改正後は、成人した生徒が21歳以下である限りにおいて、その生徒の同意がなくても学校は親に重要な情報を与えることができる。

2004年7月19日)

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