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OECD、ドイツの教員の質を批判

    2年半前のユネスコのPISA調査報告ではドイツの生徒の水準の低さが明らかになったが、今度は経済協力開発機構(OECD)の調査でドイツの教員の質が批判されている。ドイツの教員は年齢が高すぎ、教育者としての養成と継続教育が不十分で、その授業も魅力的ではない。また、教員が公務員であること(職業の保証と評価の欠如)にも疑問を投げかけている。

 OECDの委託を受けて、専門家が昨年9月にバーデン・ヴュルテンベルク、ブランデンブルク、ハンブルク、ノルドライン・ヴェストファーレン各州の学校を訪問して調査した。調査結果は今年3月に全国教育相会議に提出されたが、未だに何の見解も発表されていない。教育相会議は、この調査結果はすでに議論されていることで、今更新しいことではないとして、無反応を弁護した。この調査結果は25カ国を対象にした国際調査に統合されて、「教員のPISA調査報告」として今年秋に発表される予定である。

 ドイツの教員は欧州で最も年齢が高い。これまで各州がその時その時の需要にだけ応じて教員を採用してきたために、若い教育者の「新風」が学校にもたらされなかった。各州が若い教員を十分に採用しないことをOECDの専門家は特に批判している。また、学校制度同様に教員養成制度も分かりにくいと指摘している。16州にはそれぞれ独自の教員養成制度があり、教員の移動性が妨げられている。年度中に転勤する教員は全体の9%に過ぎず、他の州の学校に転勤する教員はその内の2%に過ぎない。ドイツの教員の学業期間は長く、専門的には優秀であるが、教授法と教育学で劣っているという。

 また、ドイツは教員の給与水準が最も高い国に属するが、教員は職業に満足していない。教員になる年齢が平均で32歳で、教育期間は長いが、その後の継続教育がない。教員は事実上、勤続年数にのみ基づいて昇進するので、能力の向上や教育技術の改善を図る意欲がない。学校制度が柔軟性に欠けるため、学校と教師は生徒の要望に応えることができない。

 そこで、OECDの専門家はドイツの教育相に対して、教員が出来なければならない標準を開発することと教員の公務員制の見直しを勧告している。教師、校長、外部の専門家から成るチームが定期的に教員を評価すること、教員になるための学業期間を短くし、実習を強化し、継続教育を効率的にすることを提案している。良くない教育者は退職させるか、授業をする必要のない職務に就かせるべきであるとしている。

2004年7月19日)

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