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全国統一したジュニア教授導入は憲法違反

 連邦憲法裁判所は7月27日(火)、全国統一したジュニア教授導入を規定する大学大綱法小改正は基本法に違反しているため、無効であるとする判決を下した。大学政策は州の管轄であり、連邦は大学教授への道としての大学教授資格(Habilitation)の廃止を規定することにより、その管轄権を超えたとしている。この判決は大学制度だけでなく、連邦と州の権力配分に重要な意味を持つ基本的判決といえる。

 大学教授資格を廃止するジュニア教授制度に反対するバイエルン州、ザクセン州、チューリンゲン州は、大学大綱法小改正は州の権限を制限しているとして、連邦憲法裁判所に訴えていた。野党は、州の管轄が明確化されたことを歓迎するとともに、ブルマーン連邦教育相の手痛い敗北と評価した。各州政府は、大学は州の管轄とする判決を歓迎している。

 憲法裁判所は、連邦は大学制度における基本方針だけを規定する権限を有し、その実施の詳細(教授の資格、任命に関する規定)は州に任せなければならないとしている。しかし、この判決は、ジュニア教授が有意義であるか否か、将来の大学政策がどうあるべきかという決定ではないことを強調した。

 ブルマーン連邦教育相は、この判決はジュニア教授そのものを疑問視したのではないとして、次の大学大綱法小改正を提出する意向であることを明らかにした。ブルマーン教育相と全国学長会議は各州政府に対して、ジュニア教授制度を導入するよう呼びかけている。バイエルン州のゴッペル学術相は、バイエルン州はジュニア教授制度には反対しないが、従来の大学教授資格は堅持すると語った。

 若い学者の教授職への道を容易にし、養成を加速することを目的として、連邦政府は2002年に大学改革法(大学大綱法小改正)を制定して、ジュニア教授制度を導入した。それによると、傑出したドクターの学位を取得した若い学者はジュニア教授に任命される。大学教授資格は必要ない。ジュニア教授は通常の教授と同じ権利と義務を有する。任期は3年間で、さらに3年間の更新が可能。講義と研究の成果が評価され、終身大学教授への道が開かれる。これまでに9つの州がジュニア教授導入を法律で制定しており、他の州にもジュニア教授の職がある。現在、ジュニア教授は全国で600人。連邦教育省によると、既存のジュニア教授は今回の判決の影響を受けないという。

 今回の判決は連邦の権限を制限し、州の権限を強化した。クライン前連邦憲法裁判官は、連邦憲法裁判所は連邦制の方向で転機を示したと評価した。連邦制改革委員会では、大綱法の廃止について議論している。

20048月2日)

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