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連邦内閣、氏名権に関する法案を閣議決定

 連邦内閣は氏名権に関する法案を閣議決定した。婚姻における氏名権を規定するこの法案によると、将来、夫ないし妻の前の婚姻からの氏を夫婦の共通の氏として使うことが認められる。

 例えば、シャルピング前国防大臣のクリスティーナ夫人は旧姓が「パウル」であるが、離婚後も前の婚姻からの氏「グレーフィン・ピラティ(ピラティ伯爵夫人)」を使っている。現行の法律では、シャルピング夫妻は、1)各人がそれまでの氏名をそのまま使うか、2)夫ないし妻の旧姓(「シャルピング」か「パウル」)を夫婦の共通の氏として使うことができる。

 それに対して、法案では、シャルピング氏は夫人が使っている、前の婚姻からの氏「グラーフ・ピラティ(ピラティ伯爵)」を使うことができるようになる。

 連邦政府は、2004年2月18日の連邦憲法裁判所の判決に基づいて、氏名権に関する法律の改正を迫られていた。この判決によると、結婚して取得した氏名は借りた氏名ではなく、自分の氏名である。その氏名はその人のアイデンティティーに属するので、生まれたときに得た旧姓のような人格保護を享受するとしている。従って、長年使っていなかった旧姓に戻る必要がなくなる。

 結婚と再婚による貴族の称号の取得が可能になることから、貴族連盟は伯爵や男爵の称号のインフレ貴族の系譜の希釈化、貴族の氏の社会的機能の破壊を懸念している。

2004年8月2日)

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