ドイツのニュース

ユーロは「トイロ」ではない

   連邦統計局によると、ドイツの消費者物価は2002年1月1日のユーロ導入以来30ヶ月間に平均で3,3%上昇した。ユーロ導入前のマルクの時代の30ヶ月間は4,3%増だった。ドイツのインフレ率はユーロ導入以降よりもマルク時代の方が高かったので、ユーロがドイツの物価水準を持続的に引き上げている(Euro=Teuro)という一般的見方は妥当ではないという。

 食料品と飲料水はユーロ導入以来、平均で1,1%だけ高くなった。肉、卵、乳製品、無酒精飲料はかえって安くなっている。それに対して、タバコ(+29%)と医療サービス(+20%)は大幅に値上がりした。但し、この値上がりはユーロ導入ではなく、タバコ税引き上げと保健改革に起因している。

 ユーロ導入に伴って著しく値上がりしたのは特定のサービス業で、例えば、靴と車の修理、ホテル宿泊(5,6%)、レストラン(+4,1%)、自動車洗浄(+6,4%)、クリーニング、洋裁(+4,9%)、美容院、映画などで、値上がり幅は4~6%。サッカー入場券は14,9%値上がりした。家賃は3,8%増で、マルクの時代は5,2%増だった。暖房用石油とガスはマルク時代が31~38%増、ユーロ導入以降は暖房用石油が18%増、ガスが1%増。

 連邦統計局によると、消費者の苦情はユーロ導入直後に比べると大幅に少なくなっている。しかし、依然として、「ユーロはトイロ」というイメージが強く、官庁の統計を懐疑的に見る人が多いという。インゴルシュタット専門大学のアンケート調査結果によると、回答者の60%がユーロをポジティブに評価している。連邦中央銀行は、ユーロ導入直後に過度に高くなった特定の商品やサービス業の価格が再び正常化していると見ている。

2004年8月2日)

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