ドイツのニュース

失業手当 II に対する批判が続出

 2005年1月1日に労働市場改革法(ハルツIV法)が発効し、失業扶助と社会扶助を統合した失業手当 II が導入される。導入を控えて、連邦雇用エージェンシーが長期失業者に失業手当 II 申請書類を郵送してから、様々な具体的な疑問点が表面化し、ハルツIV法実施に対する批判が続出している。(2004年7月5日のニュースを参照)

 批判は失業手当 II の最初の支給日と財産申告における子供の貯金の加算に関する問題に集中している。連邦経済省によると、現行の法律では失業扶助は月末に、社会扶助は月の初めに支給されている。従って、失業者は2004年12月31日に12月分の失業扶助を受給する。2005年1月1日にハルツIV法が発効すると、新しい失業手当 II は社会扶助同様に月の始めに支給されるため、失業者は2005年1月1日ではなく、2月1日に最初の失業手当 II を受給する。但し、就職した月も失業手当 II を受給できる。

 クレメント経済相の計画では、2005年の支給回数が12回ではなく、11回になることから、連邦予算の支出を約14億ユーロ節約できる。従って、2005年1月1日からの支給になった場合には、アイヒェル連邦財務相はさらなる新規借り入れを余儀なくされ、基本法に規定されている新規債務の上限を上回る可能性が出てくる。

 また、失業手当 II 受給者は社会扶助受給者同様に、子供の貯金も財産として申告しなければならない。14歳以下の子供が750ユーロ以上の蓄えを持っている場合には、その子供の扶養手当(旧西独207ユーロ、旧東独199ユーロ)から貯蓄の超過分が差し引かれる(最高207ユーロ)。この規定は、財産申告を誤魔化すために子供の口座を利用する人が多いため、それを防止することを目的としている。しかし、財産の定義が明確でないために、どこまでを財産として申告しなければならないかが明らかでなく、問題が残されている。

 野党は、14億ユーロを節約するために1月の支給をカットするのは「非難すべき計画」として連邦政府を厳しく批判している。自由民主党(FDP)のニーベル氏は混乱しているハルツIV法実施の一年延期を要求している。与党内でもクレメント経済相の計画に反対する声が大きい。旧東独では、ハルツIV法に抗議する月曜デモ(1989年に東独政権に対する平和的抗議として東独市民が毎週月曜日に行ったデモに由来する)まで復活した。

 連邦政府は9月3日と4日の会議で失業手当 II 支給日の問題を話し合う予定である。9月19日にブランデンブルク州議会選挙を控えていることから、政府はそれまでにこの問題を解決したい意向である。

20048月9日)

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