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当事者の同意のない父子関係テストは違法

   連邦通常裁判所は1月12日(水)、裁判所は当事者の事前同意なしに秘かに行った遺伝子検査を父子関係取消証拠資料として認めてはならないとする判決を下した。明示の同意なしに他の人間の遺伝子を検査することはその人の個人データ使用に関する自己決定権という基本権に反する。従って、違法に取得した証拠資料は裁判で用いることはできないとしている。子供のこの基本権は、生物学的な父子関係を確認したい、父親とみなされている男性の利益よりも優先される。

 また、連邦通常裁判所は、鑑定人の意見を求めるために、単に父親でないと主張して裁判手続きをとることはできず、父子関係に疑問を引き起こす具体的な嫌疑の事項を明示しなければならないとしている。但し、母親または子供がテストの同意を拒否した事実は最初の嫌疑の理由としては不十分である。

 連邦通常裁判所はこの判決により、当事者の同意なしに秘かに行われた父子関係テストを証拠資料として認めなかったツェレ高等裁判所とイェナ高等裁判所の決定を確認した。原告の男性は連邦憲法裁判所に上訴する意向を明らかにしている。

 ここ数年、比較的容易に行える父子関係テストがブームになっている。ドイツでは、年間約4万件の父子関係テストが行われていると推定されており、その大半は民間の実験室が行っている。価格は1件当たり数百ユーロ。

 チプリース連邦法務相(社会民主党)は、当事者の同意なしの遺伝子テスト、特に、秘かに行った父子関係テストを処罰する遺伝子診断法案を計画しており、今回の判決は大きな意味を持つ。同法案によると、父子関係テストは子供と母親の事前同意があった場合のみ認められる。同法に違反した場合は最高1年の懲役刑が科せられる。但し、男性が具体的な嫌疑の事項を証明できれば、母親と子供の意思に反しても裁判で父子関係テストを実施させることができる。

 しかし、野党だけでなく、緑の党からも同法案に対する批判の声が出ており、連立与党は同法案の調整を急いでいる。

2005年1月24日)

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