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仕事と家庭の両立と少子化問題

    連邦統計局によると、過去40年間でドイツの出生率が半減した。1964年は1357304人が生まれたが、2003年の新生児数は706721人だった。2000年よりも約6万人少ない。また、1965年生まれで子供のいない女性の割合は約33%と、子供のいない女性の割合が継続的に上昇している。最初の子供を産む母親の平均年齢も上昇しており、2002年は29,3歳であった。特に大卒の女性が子供を産まない傾向にある。

 この統計結果が発表された後、家庭と仕事の両立と少子化問題が政治家だけでなく、学者、労働組合、経済団体でも再び論議されている。経済の観点から見ると、社会保障制度を長期的に維持し、高齢化社会に対応するための前提条件はより高い出生率である。また、重要なリソースの有効利用として、働く女性の増加も不可欠である。

 連邦統計局によると、2003年は3歳以下の子供のいる母親の3分の1弱だけが仕事に従事していた。常勤はその内の13%に過ぎない。15歳~18歳の子供のいる母親では、仕事に従事している母親の割合が約75%で、常勤とパートタイム勤務の割合がほぼ同じであった。母親のパートタイム勤務の割合は旧西独で約5分の2であったのに対して、旧東独では5分の1。常勤の割合では旧東独が旧西独の2,5倍であった。パートタイム勤務の男性の割合は東西共に2~3%と低かった。

 ドイツ経済研究所(IW)は、仕事と家庭の両立が難しい理由として、託児所不足を指摘している。労働時間のフレキシブル化は進んでおり、企業の4分の3はフレキシブルな労働時間を導入している。但し、在宅勤務や職場シェアリングは少ない。企業が運営する幼稚園や託児所、ベビーシッターサービスも稀にしかない。

 また、トップマネージャーの地位にある女性では同じ地位の男性よりも未婚者が多く、平均年齢が41歳と男性よりも3歳以上若いにもかかわらず、子供のいない人が圧倒的に多い。ドイツ経済研究所の専門家は、仕事と家庭の両立のために企業が働く条件を改善しなければならないと指摘している。家庭における役割分担でも考え方の転換が必要であるという。

 一方、欧州統計局Eurostatによると、15歳~64歳の年齢層の女性に占める働く女性の割合では、ドイツは2003年に約59%で、先進工業国の中で中間に位置している。同じ年齢層の男性に占める働く男性の割合は70%だった。働く女性の割合が高かったのはノルウェー、スウェーデン、オランダ、米国、英国。低かったのはイタリア、スペイン、ギリシャ。

2005年1月31日)

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