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六大経済研究所、秋の共同経済見通しを発表

 六大経済研究所は10月20日(木)、秋の共同経済見通しを発表した。それによると、2006年度国内総生産成長予測は実質で1,5%から1,2%に下方修正された。但し、今年の経済成長率は0,7%から0,8%に上方修正された。景気回復は依然としてはかばかしくないが、来年は国内景気に徐々に回復の兆候が現れ、輸出の成長が持続すると予想している。輸出の成長率は実質で今年が5,9%、来年が6,5%の見通し。

 失業率は今年が11,2%、2006年が10,9%と、依然として高水準であるが、僅かに低下する。登録された失業者数は年平均で4875000人から4755000人に減少するが、抜本的な改善は見られない。その原因として、ハルツ労働市場改革の対策措置が不十分であることが指摘された。

 また、ドイツの2006年度財政赤字は国内総生産比3,1%と、5年連続でEUの「安定・成長協定」に違反すると予想している。今年は3,5%になる見通しである。

 インフレ率は、高い石油価格を要因として、今年が年平均で2,1%(これまでの予測は1,7%)、来年が2%(1,5%)と予測している。弱い個人消費は来年も懸念要因で、持続的な回復は期待できない。来年の個人消費は年平均で低下するものと見ている。

 また、経済研究所は、欧州中央銀行が来年、指標金利を2,5%に0,5ポイント引き上げると予想している。但し、石油価格が1バレル当たり約60ドルに留まることを前提とする。為替相場は1ユーロ約1,20ドルの見通し。

 賃金は平均で今年1,2%、来年1,5%上昇すると予想しているが、今後10~15年間は国民一人当たり所得はほとんど上昇しないと悲観的見方を明らかにした。すでに、国民大部分の生活水準は低下しており、状況は極めて厳しく、経済政策の抜本的改革をこれ以上引き延ばすことは許されないという。そこで、経済研究所は新政府に対して勇気ある改革を求めた。社会福祉制度と労働市場においてもっと市場経済的要素と自己責任を指向しなければならないとしている。

 さらに、経済研究所は新政府に対して国家財政の建て直しと厳しい節約路線を徹底して実行することを要求すると共に、いかなる増税にも反対する見解を明らかにした。財政立て直しは歳出面で行わなければならない(様々な補助金や税制上の優遇措置の削減・廃止など)という。

 一方、連邦政府も10月21日(金)、来年の国内総生産の成長率を1,2%に0,4ポイント下方修正した。今年の成長率は0,8%と予測している。

2005年10月24日)

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