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職業訓練市場、徐々に改善

   職業訓練市場が1年前よりも改善している。連邦雇用庁によると、職業訓練生の新年度が10月1日にスタートしたが、この時点でまだ職業訓練の職場が見つからない若者は40915人で、職業訓練生求人数が12636人だった。計算上では、不足している職業訓練職場は1年前よりも2400件減少して28279件になる。職業訓練の職場が見つからない応募者数は4年ぶりに減少した。

 特に厳しい状況にあるのは旧東独で、1つの職場に13人が応募している。但し、出生率が急激に低下していることから、近い将来に求人不足が応募者不足に逆転すると予想されている。そこで、クレメント経済相は、政府と経済界による「職業訓練協定」を今後は「専門労働力協定」に切り替えていくことを提案した。同相は、「経済界との「職業訓練協定」が成果を出している。職業訓練市場の問題を解決するには、法律で職業訓練職場賦課金を企業に強制するよりも任意による合意の方が適している」と語った。

 ドイツ商工会議所連合会のブラウン会長も「職業訓練協定」の成果をポジティブに評価している。雇用の後退にもかかわらず、若者の職業訓練は前年の高水準で安定しているという。経済界は年間3万人の新しい職業訓練職場を提供することで合意していたが、51700人(商工会議所で33200人、手工業会議所で約18500人)の新しい職場を創出し、目標を大幅に上回った。また、職業訓練の職場が見つからなかった若者に職業訓練準備教育をする職場数も目標の25000件を超える29000件であった。

 ブラウン会長は、年末までにすべての応募者に職業訓練の職場を提供できると楽観的に見ている。全部で291645件の新しい職業訓練契約が商工会議所に登録された。前年よりも2600件少ない。連邦雇用庁には2004年10月から2005年9月までに全国で471500人の職業訓練職場が申請された。これは前年同期よりも48400人少ない。

 一方、ドイツ手工業連盟は多くの応募者の学力不足を訴えている。毎年、10万人の若者が卒業資格なしに学校を出ており、さらに10万人の若者はドイツ語と数学の学力が不足しているという。職業訓練協定の参加者は、職業訓練の職場を得られなかった若者に職業訓練準備教育の場を提供することを成功要因と評価している。

 労働組合は「職業訓練協定」をポジティブに評価した連邦政府と経済界を厳しく批判し、連邦政府に対して同協定を解約して、職業訓練の職場を提供しない企業から賦課金を徴収するよう求め。新しく創出される職場数よりも失われる職場数の方が多いとしている。連邦職業教育研究所の調査結果によると、目下、10万人の若者が職業訓練の職場を探しており、12月末までに職業訓練職場契約件数は565000件と、前年よりも約8万件少なくなると労働組合は指摘している。

2005年10月24日)

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