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雇用市場の回復、10月も継続

 雇用市場の秋の回復は10月も継続した。連邦雇用庁が11月3日(木)に発表したところによると、10月の失業者数は9月より94000人減少して4556000人になった。但し、1年前より349000人多い。失業率は0,2ポイント低下して11,0%。

 旧西独の失業者数は3097000人(失業率9,4%)、旧東独は1459000人(17%)。失業手当 II 受給者数は4912000人、55歳以上の失業者数は前年同月比18,5%増の567000人、25歳以下の失業者数は14,6%増の564000人。求人は84,7%増の453000人。8月の社会保険加入義務のある就業者数は前年同月より372000人減少して2625万人であった。連邦雇用庁は社会保険加入義務のある就業者数の減少傾向を大きな不安要因と見ている。

 連邦雇用庁は、秋の回復にもかかわらず、失業者数がこの冬に再び500万人の大台を上回る可能性があると警告している。今年2月の失業者数は520万人であった。現在、約30万人が国から補助金を受けて起業しているが(Ich-AG)、今年末で終了するこのIch-AGプログラムを継続するのか、58歳で早期退職できるオプションを更新するのかなど、新政権の政策決定に冬の失業者増加の如何がかかっているという。また、失業者減少は1ユーロジョブの増加にも起因しており、現在、27万人以上が1ユーロジョブに従事している。

 10月も季節調整済み失業者数が36000人減少し、過去5ヶ月間に季節調済み失業者数が全部で14万人減少するなど、いくつかのポジティブな兆候が見られるが、連邦雇用庁は「雇用市場の転機とはまだ言えない」と慎重な見方をしている。現在の弱い経済成長では雇用創出は望めない上、企業の人員削減も続いているという。

 連邦雇用庁によると、“Job to Job”プログラムも成果を出している。これは、職場を失った人が失業申請することなく(従って、失業手当を受給することなく)、すぐに次の職場を見つけることができるように職場を斡旋するプログラムである。これまでに15万人がこのプラグラムの恩恵を受けたという。

 クレメント連邦経済・労働相(SPD)は、この秋には労働市場改革の最初の実りを収穫できると語った。それに対して、キリスト教民主同盟(CDU)のポファラ氏は、秋の失業者数としては最高水準であることを指摘して、労働市場改革をさらに推進していかなければならないと述べた。

 一方、連邦雇用庁の労働市場・職業研究所(IAB)は、旧東独における就業者数が現在の1000万人から2050年は約450万人に急減すると警告した。人口は同期間に1500万人から900万人に減少すると予想している。人口急減の要因としては、若者の旧西独への移住のほか、ドイツ統一後の出生率低下が挙げられる。この傾向は旧東独の経済成長に大きな影響を及ぼすと同研究所は指摘している。

2005年11月7日)

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