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アルツハイマー病患者の急増

    アルツハイマー病はドイツの国民病になる。ミュンヘン大学のハース細胞生物学教授はドイツ倫理会議で、「アルツハイマー病患者の急増に備えなければならない」と述べた。会議では、老人性認知症とアルツハイマー病について話し合われた。特に高齢化の急速な進展を要因として、ドイツの認知症患者数は現在の120万人から2030年には250万人に増加すると予想されている。

 アルツハイマー病の研究で有名なハース教授は、この数字を見ただけでも治療の開発が不可欠であることが明白だとして、政府に対して治療開発への投資を求めた。また、生物学者のコレク氏は、認知症老人に対する尊厳ある治療は重大な道徳的課題の一つであると語った。認知症患者は自分の意志を述べる能力が制限されているため、認知症患者の研究は倫理的問題であるという。

 そこで、マンハイム大学精神医学部のヘン教授は、まだ決定能力のある軽い認知症患者で作用物質をテストすることを提案している。その薬に認知症の進展を抑制する効果が見られる場合には、試験的に重い認知症患者にも処方できる。ヘン教授は薬が脳の働きを改善することには懐疑的であるが、認知症進行の抑制は有り得るという見解である。

 一方、マックス・プランク研究所のバルテス氏によると、80歳以下の老人と80歳以上の老人には大きな差が見られる。80歳以下の老人は若者同様に人生に満足しており、今日の老人の精神的能力は昔の老人よりも明らかに高い。しかし、80歳以上になると、人生に対する満足度も精神的能力も大きく低下するという。

2005年11月7日)

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