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若くて高学歴の人は旧東独から旧西独へ移住

    ハレ経済研究所(IWH)の調査結果によると、旧東独から旧西独へ移住する若い高学歴者が増えており、高学歴者の損失が旧東独の経済にとって持続的な痛手になることが懸念される。西から東への移住者数と東から西への移住者数の2004年の格差は約5万人で、差し引きマイナスであった。ドイツ統一後の1990年代初頭と2001年(91000人)よりは少ないが、最も少なかった1997年(10500人)よりも明らかに増えている。

 専門家は、東から西への移住者数増加よりも移住者の学歴水準が問題であると指摘している。旧東独ではアビトゥーア(高校卒業資格/大学入学資格)ないし専門単科大学入学資格を取得している人の割合は人口全体の18%に過ぎないが、旧西独へ移住する人の約3分の1がこれらの資格を取得している高学歴者である。ハウプトシューレ(9年生まで)卒業者ないし卒業資格なしに学校を出た人が移住者に占める割合は少ない。18歳~30歳の年齢層の多くは大学の在籍権ないし職業訓練の職場、就職先を探すために旧西独に移住している。

 東から西への移住者数と西から東への移住者数を比較すると、マイスターと専門単科大学卒業者のカテゴリーだけあまり格差が見られなかったが、そのほかの学歴カテゴリーでは東から西への移住者数の方が圧倒的に多かった。但し、西から東への移住者でもアビトゥーアないし専門単科大学入学資格を有する人の割合が高かった。

 1990年代初頭は東から西への移住者が多かったが、アビトゥーアないし大学卒業資格を有する西からの移住者も多かったため、差し引きプラスだった。これは、旧東独の大学と行政の再編に西ドイツからの人材が必要であったことに起因している。しかし、今では、旧東独は職業訓練の場としても就職先としても西ドイツ人には魅力的でない。旧東独の人材資本の継続的な損失が旧東独の経済ポテンシャルも持続的に縮小させることが懸念されている。

2005年11月7日)

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