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連邦議会、新首相にメルケル氏を選出

 連邦議会は11月22日(火)、キリスト教民主同盟(CDU)のメルケル党首(51歳)を連邦首相に選出した。その結果、ドイツ初の女性首相が誕生した。旧東独出身の首相も初めてで、史上最年少の首相である。メルケル新首相と新閣僚がケーラー大統領から任命され、連邦議会で就任宣誓をした後、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)の大連立政権が正式に発足した。CDU/CSUとSPDの大連立政権はキージンガー政権(1966~69年)以来で、戦後2度目となる。

首相選出は無記名投票で、出席した612議員の内、賛成が397票、反対が202票、棄権が12票、無効が1票であった。得票率は 64,65%。2人が欠席した。過半数の308票を大きく上回ったが、与党内(CDU/CSUとSPDで448票)から51反対票があった。特にSPD左派議員が反対票を投じた模様である。また、SPDのティールゼ氏が連邦議会の副議長選でCDU/CSUから多くの反対票を得たことから、SPD議員の報復が予想されていた。CDU/CSU内の造反もあったと見られている。1966年の大連立政権では、キージンガー氏は首相選出で与党内から107票の反対票を得ていた(但し、得票率は71,9%)。

 首相就任したメルケル氏は、「大変満足している。幸せです」と、飾り気のない簡潔な言葉で心境を表現した。連邦議会のラメルト議長は選挙結果を発表した後、「女性にとって力強いシグナルだ。きっと、少なからぬ男性にとっても」と述べて議会内の笑いを誘った。

 カウダーCDU会派議員団長は、「選挙結果に大変満足している。これまでに、メルケル氏ほど多くの賛成票を獲得したドイツ首相はいない」と述べた。また、シュトルックSPD会派議員団長は、「(与党からの51反対票は)そんなに劇的ではない。堅実なスタートだ」と語った。ハイルSPD幹事長も「大変良い結果」と見ている。それに対して、ヴェスターヴェレFDP党首とクーン緑の党会派議員団長は、「大連合のもろさの証拠」と評価した。しかし、全体的には選挙結果はポジティブに受け止められており、議員の間でもメルケル新首相に敬意を表する発言が多かった。

 9月18日の総選挙後 65日を経てようやく新政権が始動した。事実上、ドイツは連邦議会解散後、政治の停滞状態が続いていた。メルケル新首相は11月23日(水)に初外遊としてフランスを訪問し、シラク大統領と会談した後、ブリュッセルを訪問して欧州連合とNATOの代表者と会談する。24日(木)はロンドンでブレア首相と会談し、来週はワルシャワを訪問する予定である。

2005年11月23日)

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