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CDU/CSU と SPD、連立協定に調印

 キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)は11月11日(金)、大連立政権樹立のための連合交渉で最終合意に達した。連立協定は14日(月)からの各党大会で承認され、18日(金)に調印された。連立協定は政敵だった両党が選挙戦で訴えた政策のバランスを図った妥協の結果であることから、両党内に不満の声も聞かれる。雇用創出と財政再建を最優先する連立協定の主な要旨は次の通りである。

     付加価値税を2007年1月1日に現行の16%から19%に引き上げる。その内 2%分の増収は連邦と州の収支改善に、残る1%分は賃金付随コストの引き下げ(失業保険料の6,5%から4,5%への引き下げ)の財源に充てる。社会的バランスを守るために、現行の7%の付加価値税(食料品)は変わらない。

     雇用創出を目的として、2007年1月1日から労使が負担する失業保険料を現行の6,5%から4,5%に引き下げ、企業の負担を軽減する。

     財政再建のため、2007年1月1日に「富裕税(Reichensteuer)」を導入する。年間所得が25万ユーロ(独身者)/50万ユーロ(既婚者)以上の高額所得者に3%の「富裕税」を上乗せする。その結果、最高税率が45%に引き上げられる。

     ドイツの経済立地を改善するために、2008年1月1日に企業税法の改革を実施する。

     2006年度予算は基本法第115条(新規債務が投資額を上回ってはならない)もEU規定(安定協定:単年度財政赤字を国内総生産の3%以下に抑える)も厳守できないが、2007年度予算では両方を厳守する。但し、「技術革新、投資、成長、雇用の強化」を推進するために、今後4年間に約250億ユーロを投資する。

     2007年までに財政赤字を削減する(公共行政、補助金、税制上の優遇措置などにおける削減)。例えば、マイホームの控除(Eigenheimzulage)は200611日から廃止される(但し、新規の場合のみ)。通勤交通費の控除額(Pendlerpauschale)が削減される。最初の20kmは控除できず、21km以上は1kmあたり30セントとする。退職金は200611日から全額課税対象となる。貯蓄控除(Sparerfreibetrag)は独身者が750ユーロ(現行は1370ユーロ)、既婚者は1500ユーロ(2740ユーロ)までとする。株式や不動産などの売却利益は2007年から一律20%課税とする。

     2007年に年金保険料率を現行の19,5%から19,9%に引き上げる。

     2012年から2035年までに段階的に年金支給開始年齢を65歳から67歳に引き上げる。

     解雇規制を緩和し、新規採用者の試用期間を現行の6ヶ月から2年に延長する。

     積極的な雇用市場対策は効果のあるものだけを継続する。「Ich-AG」は2006年6月30日までとし、その後は起業家のための新しい対策を検討する。

     旧東独の失業手当 II を14ユーロ引き上げて、全国一律345ユーロにする。

     少子化対策として、2007年から従来の教育手当(Erziehungsgeld)の代わりに、育児で休失業した親に実質所得の67%、最高で月額1800ユーロを1年間保障する父母手当(Elterngeld)を導入する。子供手当て(Kindergeld)は教育期間中の子供が25歳になるまで(現行は27歳まで)支給される。

     研究開発費を2010年までに約30億ユーロほど増加する。

     疾病保険制度改革では合意できず、2006年に先送りする。

     原子力発電所の撤退・存続問題では合意できず、決定は見送られた。2021年までに段階的に廃止するという旧政府の政策を引き継ぐ。

     トルコのEU加盟交渉については、欧州連合の決定に則るが、自動的加盟ではないことを明示した。トルコが加盟基準を厳 守できない場合あるいは欧州連合がトルコを受け入れられる状態にない場合には、トルコはEUとの特権的関係を目指さなければならない。

2005年11月23日)

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