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年金保険者、貸付金で12月分年金を支給

 年金保険者(年金保険担当機関)は12月分の年金を支払うために、連邦財務大臣に 9億ユーロを超える貸付金を申請した。法定年金保険の財務状況が予想よりも悪い展開になっており、すでに 9月以来、連邦は期限より早く連邦補助金を年金保険者に振り込んでいた。社会民主党と緑の党の前連立政権が年金保険料率安定化のために変動準備金を切り崩してきたことから、年金保険者はドイツ連邦共和国成立以来初めて、貸付金に頼らなければならなくなった。

 年金保険の今年の支出は2283億ユーロで、収入を45億ユーロほど上回る見通しである。この欠損を調整するために変動準備金も投入されることから、変動準備金は10億ユーロに縮小する。これは1か月分支出の 7%に相当する。本来、法律で規定されている変動準備金は1か月分支出の最低 20%でなければならないが、今年末には 7%にまで低下する模様である。

 年金保険者は6億ユーロの貸付金を見込んでいたが、社会保険加入義務のある就業者からの保険料収入が予想以下であったことから、9億ユーロ以上の貸付金が必要になったという。前政権は、2005年は名目上賃金が1,6%上昇すると予測していたが、実際には 0,8%ほど低下している。年金保険者はこのような前政権の楽観的過ぎる予測と長引く不況、高い失業率を保険料収入減少の要因として指摘している。

 連邦は毎年800億ユーロの補助金を年金保険者に支給している。連邦政府は「底のないたる」を塞ぐために、連邦補助金を現在の水準に凍結する意向である。しかし、凍結した場合には、政府が目標とする保険料率上昇と年金水準低下の上限を維持することはできそうにない。

 年金保険者によると、年金保険料収入が来年増加する見通しはない。従って、年金引き上げは来年も期待できない。年金保険者は、政府が財政再建のために計画している連邦補助金の凍結を警告している。連邦補助金を現行水準に凍結すれば、政府が目標とする年金保険料率と年金水準を維持することはできず、2020年には年金保険料率が21,5%に、年金水準が45%になると試算している。

2005年12月12日)

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