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復興金融公庫、学生ローンを提供

 復興金融公庫(KfW)は1月31日(月)、2005/2006年度冬学期から学生ローンを提供すると発表した。学生ローンの対象者はドイツの大学で学ぶ学生(EU加盟国出身者または無期限滞在許可を有する者だけ)で、担保は不要。ローンは全ての学科、学年の学資融資に充てられ、月額最高650ユーロ。留学の場合は一回限りで最高2500ユーロ。貸付期間は最高10学期。変動金利で、最高金利は契約で保証される。返済は最後の支払い日の1年後から始まる。返済期間は通常10年を超えないが、最高25年も可能。基本的には返済の仕方(いつ、いくら返済するか)は学生自信が決めることができる。

 この学生ローンは将来徴収されるかもしれない大学授業料に依存することなく、親の所得に依存することなく、在学期間の学資の融資として提供される。連邦奨学金(Bafög。最高額585ユーロ)を受領している学生もこのローンを受けることができる。金利は市場一般の金利で、現在は5,1%。悪用を防ぐために、低金利の融資はしないという。貸付手続きコストを節約するために、インターネットプラットホームでの手続き処理を計画している。少なくとも年間約1万件の貸付が見込まれている。

 復興金融金庫が引き受けるリスクは高く、貸倒率を12,9%と見積もっている。ブルマーン連邦教育研究相は、連邦が貸倒の場合の保証を引き受けることを拒否しているが、復興金融金庫は国の援助なしには学生ローン制度は成り立たないと見ており、貸倒の際の国の保証を見込んでいる。

 学生ローンを受ければ、バイトをせずに学業に専念できるので、在籍期間も短くなると予想しており、勉学期間の短縮と勉学の質の向上を促すために、特別に優秀な成績の学生には金利を低くしたり、返済の一部を免除することも考えているという。

 民間銀行は高いリスクゆえに公立大学の学生ローンには消極的で、将来有望な専門学科(経営学、医学、化学など)の学生にだけ融資することを検討している。民間銀行はすでに私立大学の学生には学生ローンを提供しており、貸倒リスクも引き受けているが、選択基準が厳しく、専攻学科も限られている。また、私立大学は学生数も少ないので、貸し付け条件が公立大学よりもよい。

 そこで、復興金融金庫はドイツ経済と立地を促進する連邦の銀行として、全学生を対象にした学生ローンを提供する。しかし、大学授業料を計画している州政府もまだ具体的な学生ローン制度を提示しておらず、未解決の問題が残されている。

2005年2月14日)

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