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ドイツ企業、研究開発を外国に移転

   ドイツ商工会議所連合会が発表したアンケート調査結果によると、ドイツ企業は今後も研究開発費を増やす計画であるが、国内ではなく外国で研究開発をする企業が増えている。生産だけでなく、研究開発も外国に移転する傾向が強まっている。外国で研究開発をしている企業の3分の2は有利な立地条件、例えば低いコスト、厳しくない法的履行義務、質の高い従業員、フレキシブルな労働時間を理由として挙げている。また、44%の企業は、外国での生産を補充するために研究開発部門の移転も必要だと回答している。

 ブラウン会長は、「ドイツの研究開発立地に亀裂が入った」として危機感を示した。外国で研究開発をしている企業の3分の2は、ドイツの立地条件が改善されていたならばドイツで研究開発投資をしていたと回答していることを「警告」と評価している。また、ドイツで広がっている「新しいテクノロジーに対する無知」を批判した。原子力開発技術、緑の遺伝子技術、ES細胞研究、ナノテクノロジーなど多くの研究分野で、ドイツ人の「反テクノロジー的考え方」と「新しいテクノロジーに対する反感」がネガティブに影響しているという。ブラウン会長は、シュレーダー首相が提唱する技術革新攻勢を実践で実現するよう連邦政府に求めている。大学や研究施設への資金増強が不可欠であるという。

 ドイツ商工会議所が1554社(ドイツ私経済の研究開発費の60%を占める)を対象に行ったアンケート調査結果によると、3分の1の企業は外国で研究開発をしており、その半分の企業(15%)はすでに研究開発部門を外国に移転している。さらに17%の企業も今後3年間に研究開発部門を外国に移転する計画である。特に ITメーカー、機械メーカー、自動車サプライヤー、電子機器メーカーに研究開発の外国移転の傾向が見られる。移転先は旧EU15カ国(47%)、中央・東ヨーロッパ(31%)、アジア(28%)、北米(28%)、スイス(11%)、南米(5%)。

 ドイツの立地条件を「悪い」と回答したのは企業の16%で、約50%は「平均的」と評価した。30%の企業は今後3年間にドイツにおける研究開発費を増やす計画で、49%の企業は現状維持と回答している。全体的に、研究開発費の緩やかな上昇が見られる。

 ブルマーン連邦教育研究相はデータベースが少ないとして、調査結果を疑問視している。また、研究開発は「一方通行」ではなく、ドイツ企業が外国で研究開発するように、外国企業もドイツにおける研究開発に投資しているとして、経済界の誇張した危機感を批判した。それに対して野党はこの調査結果を連邦政府の技術革新攻勢の失敗と評価している。

2005年2月14日)

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