ドイツのニュース

旧東独の医者不足

    旧東独の医者不足が深刻化していることから、連邦政府は旧東独で開業するよう若い医者に呼びかけている。シュミット連邦保健社会相は、大都市のように魅力的でない地方でも開業して欲しいと訴えた。例えばベルリンでは開業医が多すぎるのに、ベルリン市から出て開業しようとする医師は少ないという。

 連邦医師会は、訴えるだけでは医者不足問題を解決できないとして、具体的な対策を連邦政府に求めている。ドイツでは医者が不足しているが、ベルリンやハンブルク、ミュンヘンのような大都市やオーバーバイエルン地方では十分に開業医がいる。それに対して、ニーダーバイエルン地方、ウンターフランケン地方、ミッテルフランケン地方、ニーダーザクセン州、旧東独ではホームドクターと専門医が不足している。

 法定保険金庫は、これらの地方の全域で医者が不足しているのではなく一部の地域にすぎないとして、パニックを引き起こさないよう警告しているが、連邦医師会は危機感を持っている。旧東独では様々な優遇措置(投資援助、安い家賃、1~2年間の売上保証など)を提供して医者を探しているが、成果は現れていない。

 現在、全国で約600の診療所は医者が不在で、その内の200ヶ所はブランデンブルク州にある。旧東独では、ホームドクターの3人に1人が60歳以上で、数年後には退職するため、医者不足の状況はますます厳しくなると連邦医師会は見ている。2011年までに23000人のホームドクターが退職するのに対して、12年以内に若い医者は40%ほど減少すると予想されている。2003年は13000人の学生が開業免許を取得したが、その内の4000人は医者と異なる職業に就いた。医学部は依然として若者の間で人気があるが、医学部入学生の40%は医者の職業を選ぶ意志はない。大半は外国へ行くか、経済界あるいはマネジメントで仕事をすることを希望している。

 連邦医師会によると、若者の間で医者の職業を嫌う傾向が強いのは、労働条件が厳しいことだけでなく、官僚主義的な業務処理が増えて、患者を診察する時間が少なくなることに起因している。また、医者不足の理由としては、地方での生活が魅力的でないという考え方だけでなく、官僚主義的事務処理の増加や報酬の上限設定も挙げられる。旧東独から旧西独への移動は医者だけでなく、一般的傾向であるという。

2005年2月14日)

戻る