オバサンの独り言 シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州議会選挙では各党とも最後の最後まで一喜一憂したことだろう。得票率を5ポイント伸ばして第一党に返り咲いたキリスト教民主同盟(CDU)と自由民主党(FDP)は政権を奪回できたかに見えたが、土壇場で 745票に泣くことになった。 社会民主党(SPD)と緑の党の連立政権は過半数を失ったものの、ズィモニス州首相(SPD)は南シュレースヴィヒ選挙民連盟(SSW)という地域少数党の支持を頼りに政権続行を狙っている。CDU/FDP も SPD/緑の党も SSW の助けなしには政権に就けないという、なんとも奇妙な事態になった。今や学校政策をはじめとする同州の政治は SSW の手中にある。もちろん、SPD と CDU の大連合政権という選択肢も考えられるが、ズィモニス氏は第一党のカールステンセン氏(CDU)に州首相の座を譲る用意はない。 この SSW はシュレースヴィヒ地方のデンマーク人とフリース人を代表する少数党で、第二次世界大戦の歴史的事情を背景として5%阻止条項を適用されない特権を有する。一部地域の一部有権者だけを代表する、得票率3,6%の地域少数党が州全体の政治を決定し、ひいては連邦参議院に影響を与えるというのは民主主義政治の落とし穴といえよう。 このような政治劇を見るたびに思うことは引き際の難しさである。退き方にその人の真価が現れるのではないだろうか。権力や地位にしがみついて引き際を誤ったがために、惨めな引退を余儀なくされた政治家や経営者のなんと多いことか。 マスコミや野党の批判を軽く無視していたが、選挙を控えて与党内でも批判が出始めたために遅れ馳せながら自分の政策ミスを認めざるを得なくなり、責任を負うと言えばそれで事足れりと居直っている傲慢な大臣などは「潔い引き際」とは程遠い。どんな責任を取るのか見守りたい。 誰にでもいつかは退かなければならない時がやってくる。後継者に譲る準備を心掛け、時機を逸することなく引退したいものである。「人間引き際が肝心」とは万国共通の心得のようだ。 (2005年2月28日)
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