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連邦議会、集会の権利を厳しくする法改正案を可決

 連邦議会は3月11日(金)、社会民主党、緑の党、キリスト教民主・社会同盟の賛成多数で、集会の権利と刑法を厳しくする法改正案を可決した。連邦参議院の同意は確実と見られており、同法改正は4月に発効する予定である。

 同法改正により、ナチスの犠牲者の尊厳が侵害される場合には、歴史的に重要な特別な場所における集会を禁止することができる。その結果、極右勢力のデモや集会を禁止しやすくなる。但し、連邦はデモを禁止できる歴史的に特別な意味のある場所としてベルリンのホロコースト犠牲者慰霊碑だけを規定しており、他の場所(例えば、強制収容所、戦没兵士の墓地、レジスタンスの記念碑など)については各州が自ら規定できる。いくつかの州はすでに法案を準備している。

 また、刑法では、「国民扇動条項」第130条が拡大される。ナチス支配を承認したり、賛美したり、正当化することにより犠牲者の尊厳を妨害する者は最高3年の自由刑ないし罰金刑を科せられる。そして、そのような行為が予想される催し物は禁止することができる。

 与野党は、今年5月8日の戦後60周年記念日にベルリンのホロコースト犠牲者慰霊碑などの歴史的に特別な意味のある場所でネオナチがデモをすることを禁止するために、法改正案の成立を急いでいた。自由民主党は、言論の自由と集会の自由は民主主義にとって極めて重要であるとして、憲法上の懸念から法改正案に賛成しなかった。

 与党が連邦議会周辺の集会禁止区域をブランデンブルク門周辺に拡大することに反対したため、今回の法改正案にはブランデンブルク門は禁止区域に含まれなかったが、キリスト教民主・社会同盟は引き続き集会禁止区域の拡大を働きかけていく意向である。

20053月14日)

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