ドイツのニュース

ドイツにおける貧困者の増加

    シュミット連邦保健社会相が連邦内閣に提出した貧富報告書によると、ドイツでは1998年~2003年の期間に貧困者の割合が12,1%から13,5%に上昇した。1973年は旧西独における貧困者の割合がまだ8,7%であった。現在、ドイツでは1100万人以上の人が貧困者とみなされる。世帯当たり平均総所得は1998年が3202ユーロ、2003年が3454ユーロであった。就業者、自営業者、高齢者の貧困リスクが平均以下であるのに対して、失業者及び一人で子供を扶養している人の貧困リスクが高い。

 貧困の主因としては失業が挙げられる。報告書は、国内不況が社会的不平等の原因になっており、社会的に公正な政治が雇用を創出し、失業者を労働市場に送り込まなければならないとしている。この報告書では、収入が平均収入(実質収入)の60%以下の世帯の市民を貧困と定義付けており、ドイツでは貧困の上限が938ユーロである(相対的貧困)。連邦保健社会省は、ドイツは国際比較では貧困リスクが最も低く、米国の水準からは程遠いとして、社会的国家と社会保障制度が機能していることを強調した。

  一方、個人世帯の資産は増えている。1998年から2003年までに純資産は名目で約17%増加した。個人世帯の資産総額は5兆ユーロで、平均が133000ユーロ。不動産が全資産の約75%を占めている。但し、資産の分配は不均等で、全体の50%の個人世帯(平均以下の世帯)が資産全体に占める割合は4%以下に過ぎないのに対して、10%の裕福な世帯は資産全体の約47%を占めている。

  キリスト教民主同盟のカウダー幹事長は、シュレーダー首相の就任以来、貧富の差がますます大きくなっており、現政権は社会を分裂させていると批判した。

2005年3月14日)

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