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ジョブ首脳会議、雇用創出対策で一部合意

 シュレーダー連邦首相(社会民主党)、フィッシャー連邦外務相(緑の党)、キリスト教民主同盟のメルケル党首、キリスト教社会同盟のシュトイバー党首は3月17日(木)のジョブ首脳会議で雇用創出対策について話し合い、一部合意した。

 ジョブ首脳会議で合意した主な内容は次の通りである。

     法人税を25%から19%に引き下げる。財源についてはアイヒェル連邦財務相と各州の財務相が話し合う。

     中小企業の営業税負担を軽減する。

     会社の相続人は、相続した会社経営を継続すれば、10年後に相続税を免除される(毎年、相続税の10%が免除される)。

     失業手当 II 受給者(長期失業者)に認められる追加収入幅を引き上げる。具体的な案はクレメント連邦経済相と CDU 社会問題担当のラウマン氏が作成する。

     反差別法案を変更する。例えば、従業員が第三者(顧客、サプライヤーなど)を差別した場合に、使用者がその賠償責任を負うという項目を削除する。労働法では EU 指令を1対1で国内法に実施する。民法では EU 指令よりも厳しくするが、政府案を緩和させる。

     20億ユーロ規模の交通インフラプログラムで建設業を支援する。今後4年間に年間5億ユーロを交通インフラに追加投資する。

     連邦制改革に関する話し合いを再開する。

 ジョブ首脳会議の後、シュレーダー首相は、雇用創出という共通の意思が明確になり、前進したと語った。それに対してメルケルCDU党首とシュトイバーCSU党首は、合意した内容では不十分だとして、成果を控え目に評価した。特に解雇保護の緩和や雇用市場のフレキシブル化で政府の譲歩を得られなかったという。シュレーダー首相は同日午前中の施政方針演説で、法人税の25%から19%への引き下げ、交通インフラプログラム、中小企業支援などの失業対策を提示していた。

 各党首が雇用創出対策で一部合意したものの、その財源を巡ってすでに与野党が対立しており、野党は政府に具体的な財源案を提示するよう求めている。経済界はジョブ首脳会議を「税制上のシグナル」と歓迎する一方で、一部の税率引き下げが他の引き上げで相殺されてしまうことを警告している。また、経済専門家は企業の税負担軽減が雇用を創出することを疑問視しており、ジョブ首脳会議の成果に悲観的である。失業対策には特に賃金付随コストの削減が不可欠であり、今回の合意内容では不十分だと見ている。

20053月21日)

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