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介護保険、過去最高の欠損を計上

   連邦保健社会省の発表によると、法定介護保険は2004年に8億2300万ユーロの欠損を計上した。同省は7億5000万ユーロの欠損を予測していた。これは法定介護保険制度が1995年に導入されて以来最高の欠損で、過去5年間連続して欠損が増加していた。

 2004年度収入は169億ユーロ、支出は177億ユーロだった。準備金は2003年の42億ユーロから34億ユーロに減少した。これは2,3ヶ月分の支出に相当する。法律では、1,5ヶ月分の最低準備金が規定されている。介護サービスのコストが増加し、要介護者が増えている反面、保険料引き上げがないために、法定介護保険の財政状況は厳しくなる一方である。しかも、政府は認知症高齢者の介護サービスを強化する方針である(推定で年間支出約75000万ユーロ)。

 キリスト教民主・社会同盟は介護保険制度の抜本的改革をあらためて連邦政府に求めた。それに対してシュミット連邦保健社会相は、保険料率を引き上げなくても2008年までは準備金があると語った。連邦政府は今年1月に子供のいない被保険者の保険料率を1,95%に引き上げたころから(子供のいる被保険者の保険料率は変わらず1,7%)、2005年は7億ユーロの増収を見込んでいる。しかし、支出が引き続き増えているため、2005年も億単位の欠損は避けられない見通しである。シュミット保健社会相は昨年よりも大幅に少ない欠損を予想している。

 一方、法定年金保険も2004年に29億ユーロの欠損を計上した。労働市場の厳しい状況ゆえに年金保険料収入が減少したことが欠損の主因である。今年1月と2月も保険料収入が前年同月よりも1,3%減少している。キリスト教民主・社会同盟は2004年、2005年に続いて2006年も年金引き上げはないと見ている。

2005年3月21日)

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