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私立学校ブーム

    ドイツ私立学校連盟(VDP)によると、1992年~2003年に私立学校の生徒数が12万人増えて約60万人になった。私立校数は約600校増えて約2600校。同連盟は、一般的に生徒数が減少する傾向にあるが、私立校は将来も年間最低50校新設されると予想している。アンケート調査結果によると、親の16~20%は子供を私立校に通わせたいと考えているという。しかし、私立校がまだ少ないために、需要を満たせないのが現状である。特に旧東独で不足している。

 教育専門家は私立校ブームの要因として公立学校のイメージ悪化を挙げている。特に経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査(PISA)で私立校の生徒が公立校の生徒よりも成績が良かったことが大きく影響しているという。しかし、2000年度PISA調査の評価分析では、私立校が公立校より優っていることは確認されなかった。

 ドイツ私立学校連盟によると、一般的に私立校の生徒は中流階級以上の社会層に属し、女子生徒の割合が伝統的に高い。この2つの要素が公立校よりも良い成績の要因になっている。しかしPISA調査では、ギムナジウムの生徒には公立と私立の差が見られなかった。また、数学では私立校の方が公立校よりも僅かに成績が悪かった。

 私立校では成績の悪い生徒への支援が行き届いており、学校の環境もよい。学校側と親のコンタクトも密だという利点がある。また、私立校は全日制が多く、保守的な教育の傾向にあることも私立校ブームの要因になっている。私立校のほぼ半分は教会が運営している(カトリック系30%、プロテスタント系15%)。

 ドイツ私立学校連盟は、私立学校を設立し易くするよう政府に求めている。現在、新設の私立校は公的資金を取得する前に3年間、認可条件を満たしていることを証明しなければならない。

2005年3月21日)

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