ドイツのニュース

被保険者は裁判費用を払う必要なし

 デュッセルドルフ社会裁判所は3月22日(火)、「2004年1月1日に導入された初診料の徴収は合法であり、被保険者は初診料を払わなければならないが、初診料を払わない被保険者に督促手続きの手数料、郵送料、弁護士料、裁判費用の負担を命じることはできない」とする判決を下した。社会裁判所は、被保険者に初診料(10ユーロ)の支払いを命じたが、裁判費用の賠償を求める医師の訴えは退けた。その結果、1件当たり約160ユーロの費用(裁判費用150ユーロ)は疾病保険医師会(KV)が負担しなければならない。

 この判決を受けて各地域の保険医師会は、莫大な費用負担ゆえに、初診料を払わない被保険者からの取立てを断念しなければならなくなることを懸念している。保険医師会は初診料徴収を疾病保険金庫に譲渡させたい考えであるが、疾病保険金庫はこれを拒否している。保険医師会と保険金庫の現行の契約では、医師が初診料を徴収し、未払いの場合に催促する。それにもかかわらず被保険者が払わない場合には、保険医師会が督促手続きをし、場合によっては訴訟を起こす。保険医師会は数週間前にこの契約を解約したが、新契約で合意するまでは現行の契約が有効である。両者は判決の影響を鑑みて早急な解決策を模索しており、4月中に話し合う予定である。

 連邦保健社会省スポークスマンは、初診料徴収の責任は医師と保険金庫の自治の問題であると語った。疾病保険金庫は、社会裁判所法を改正して初診料に関する裁判費用を引き下げること、あるいは法改正により管轄を簡易裁判所にすること(被保険者が他の民事訴訟のように裁判費用と弁護士料を負担しなければならない)を解決策として連邦保健社会省に求めているが、同省はこの要求を退けている。疾病保険金庫は同省と交渉していく意向である。

 これまでは初診料を払わない被保険者が少なかったために問題が軽視されていたが、今回の判決により初診料拒否件数が増加することが予想される。2004年は初診料拒否件数が約337000件であった。これは全体の0,3%以下に相当する。その内の40%は夜間あるいは週末の救急ケースで、病院がその場で徴収すれば、初診料拒否件数が低下するため、即時徴収を病院に呼びかけている。

20054月5日)

戻る