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職業訓練を途中で止めてしまう若者が多い

    連邦政府の職業教育報告書によると、職業訓練生の約5分の1は職業訓練を中途で止めている。2000年以来、中断件数は僅かしか減少していない。連邦政府と経済団体の職業訓練協定により、4万人の職業訓練の職場が追加提供され、若者が自分の適性に合った職場に就くチャンスが改善されたが、中断率の低下幅は連邦政府が期待していたほどではなかった。

 ドイツ労働組合連盟の職業訓練専門家は、一部の業種だけでなく、あらゆる業種でもっと職業訓練の職場を提供して、選択のチャンスを若者に与える必要があると語った。希望する職業でない場合に、若者がすぐに意欲をなくしてしまうケースが多いという。そこで、ヘッセン州は今年3月に職業訓練協定の一貫として、職業訓練を途中で止めてしまった若者にも新しい職業訓練の職場、少なくとも実習の職場を提供することを企業と雇用局に義務付けるイニシアティブをスタートした。

 職業訓練生に投資しているのに、職業訓練生が途中で止めてしまうという苦い経験をした企業が職業訓練の職場の提供を断念することを商工会議所は警告している。企業が職業訓練終了後に訓練生を雇用するケースが多いが、訓練生が途中で止めてしまうと投資の見返りがない。商工会議所の職業訓練コンサルタントは、問題が生じた場合に、事業所と職業訓練生の仲裁をしたり、訓練生に新しい事業所を紹介している。

 職業訓練生が途中で訓練をやめてしまう理由としては、上司とのトラブルのような事業所内でも問題やアレルギー、倒産、妊娠などが挙げられる。また、商工会議所は、職業訓練中断の原因は若者側にある場合が多いと見ている。希望する職業への間違った期待から、若者が職業訓練が始まって初めて、現実を認識するケースが多いという。特にシフト制の職業で訓練生の中断が多い。それを防止するために、商工会議所は若者に職業訓練前に実習をすることを勧めている。また、労働組合は、在学中に職業生活の準備をしなければならないと指摘している。

 また、訓練生の中断は特に中小企業に多い。職業訓練指導者との間でトラブルが生じても、他の部署に変わることができなかったり、倒産も多い。商工会議所は、小規模企業の職業訓練指導者の質に最大の問題であると見ており、小規模企業における職業訓練の改善の必要性を指摘している。

 訓練を中途でやめてしまった若者の半分は新しい職場で訓練を始めているが、残る半分の将来は暗い。職業訓練終了資格のない若者の雇用市場でのチャンスは極めて少ないからである。

2005年4月18日)

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