ドイツのニュース

SPD、NRW 州議会選挙で惨敗

 5月22日(日)のノルドライン・ヴェストファーレン(NRW) 州議会選挙でキリスト教民主同盟(CDU)が39年ぶりに第一党に返り咲いた。1975年以来政権を握っていた社会民主党(SPD)は惨敗し、シュレーダー政権は SPD 最後の牙城も失った。CDUは自由民主党(FDP)と連立政権を組み、リュットガース氏(CDU)が州首相になる見通しである。

 SPDの得票率は5,7ポイント低下して37,1%と、1958年以来最悪の結果となった。CDUは7,8ポイント上昇して44,8%、連立与党の緑の党は0,9ポイント低下して6,2%、FDPは3,6ポイント低下して6,2%。議席数はCDUが89議席、SPDが74議席、FDPと緑の党がそれぞれ12議席。投票率は61%だった(2000年は56,7%)。

 最大の人口を有するNRW 州の政権交代により、州レベルでは SPD と緑の党の連立政権モデルは終止符を打った。全国16州の内、SPDの州首相は 5州だけとなり(ブレーメン、ラインランド・プファルツ、メクレンブルク・フォアポメルン、ブランデンブルク、ベルリン)、緑の党は州レベルの連立政権から姿を消した。

 100万人の失業者を抱え、財政難に苦しむNRW 州の選挙戦の主な争点は雇用政策(失業問題)、経済政策、教育政策で、州民は政権交代を選択した。本来 SPD 支持層である労働者と失業者、大都市住民の SPD 支持離れが目立った。

  メルケルCDU党首は、「歴史的な勝利だ。社会的であるということは雇用を創出することだ。人々はCDUに期待を賭けている。」と語った。FDPのヴォルフ氏は、「SPD/緑の党連立政権を倒すという目的を果たした」として、CDUと連立を組む意向を明らかにした。緑の党のロート党首は、「SPD/緑の党の改革政治の苦い敗北だ」と評価した。

 専門家は、NRW 州の厳しい経済・雇用状況と SPD/緑の党の連邦政治への不満が連立与党の大敗の主因と見ている。州民は最大のテーマである失業問題でもはや連立与党を信頼できなくなっていたという。

  NRW 州におけるCDUの歴史的勝利が連邦政治に決定的な影響を与えることが予想され、メルケルCDU党首がCDU/CSUの次期連邦首相候補者になるのは確実と見られている。CDUは総選挙に向けて躍進を続ける追い風を受けたが、SPDと緑の党はますます厳しい状況に追い込まれた。

20055月24日)

戻る