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租税収入予測、大幅下方修正

   租税収入を予測する作業部会は5月12日(木)、2004年11月の予測を大幅に下方修正した租税収入見通しを発表した。それによると、ドイツの2008年までの租税収入は従来の予測よりも全部で668億ユーロほど少なくなる見通しである。特に連邦における減少が深刻で391億ユーロ、州は290億ユーロほど下方修正された。それに対して、市町村は全部で14億ユーロの増収を見込める。

 連邦財務省は租税収入減少を530億ユーロと見込んでいた。予想を上回る税収不足ゆえに、政府が計画している企業税引き下げの行方も定かではなくなってきた。アイヒェル連邦財務相は「極めて難しい状況だ」と語った。現在の連邦予算では新規債務が投資支出を僅かに下回っているが、今回の税収見通しでは、連邦予算が基本法に違反する可能性が高くなった。しかし、アイヒェル財務相は、景気に有害な節約措置は取らないことを明言している。

 アイヒェル連邦財務相は改めて大幅な補助金削減を求めると同時に、今年もマーストリヒト条約の安定協定を厳守できるとは考えられないと語った。連邦の2005年度租税収入は昨年11月の予測よりも35億ユーロ、州の租税収入は25億ユーロほど少なくなる見通しである。連邦における減少の要因としては、石油税とタバコ税の収入が少ないこと、厳しい雇用市場ゆえに所得税収入を下方修正しなければならないことなどが挙げられる。

 野党は約50億ユーロの支出削減を伴う補正予算が不可欠と見ており、アイヒェル財務相に対して緊急に対応策を講じるよう求めた。緑の党のシェール財務担当議員は、「将来は現実的な基盤の上に連邦予算案を作成しなければならない」と語った。金属産業労働組合は、税収減少は失政の結果だとして、政府が計画している法人税引き下げ(19%)と企業家の相続税削減を厳しく批判した。ドイツ工業連盟は、「アジェンダ2010」だけでは十分でなく、さらなる経済政策上の改革が不可欠であることを示していると評価している。

2005年5月24日)

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