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急増する公務員年金支出

    シリー連邦内務相の非公表の第3回年金報告書によると、連邦・州・市町村の公務員年金受給者数は今後 35年間で現在の約895000人から約160万人に増大する見通しである。これは 80%増に相当する。年金が平均で毎年1,5%上昇すると仮定すると、2050年までに年金支出は346億ユーロから816億ユーロに増大する。

すでに年金支出は1970年の66億ユーロから2002年の339億ユーロに増加している(413%増)。旧東独における公務員の増加もコスト増の一因で、公務員数は1960年の666300人から 2002年は約150万人に138%も増えた。また、早期退職もコスト増の要因である。公務員が退職する平均年齢は60,3歳で(2002年)、規定通りに定年退職する人の割合は17,6%に過ぎない。約3人に1人は就業不能ゆえに早期退職している。特に病気による早期退職者の割合が高いのは教師である。報告書は、「これまでの公務員年金長期安定化対策では十分でない」という結論に達している。

 そこで、連邦政府の経済諮問委員会のリュールップ委員長は公務員年金改革を連邦政府に求めている。連邦・州・地方自治体の公務員年金支出の急増を背景として、公務員年金引き下げが必要だと語った。年金の引き下げは公務員の年金にも同様に適用されなければならないという。

 連邦政府の社会諮問委員会のフェルバー委員も公務員年金制度の改革を提唱している。公務員年金額を制限し、最後の給与を基準にする算定方法を変えなければならないとしている。また、公務員も年金保険料を払うようにすべきだと提案している。

 それに対して、ドイツ公務員連盟は、私経済にある企業年金のような使用者が払う追加年金が公務員にはないことを指摘して、現在の公務員年金額を弁護している。

2005年5月24日)

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