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若者のタバコ消費量が減少

 カール・ラウターバッハ経済学者の調査結果によると、昨年のタバコ税引き上げを要因として、若者のタバコ消費量が減少している。12歳~17歳の若者のタバコ消費量は1年間で13%ほど減少した。シュミット連邦保健・社会相の顧問であるラウターバッハ氏は「センセーショナルな成果だ」と評価している。

 ドイツでは、初めてタバコを吸う年齢が平均で13,6歳と、EU諸国内で最も低い。ラウターバッハ氏は、一生タバコに依存する傾向が強くなることを指摘して、この低年齢化を特に問題視しており、連邦政府に対してタバコ税をさらに引き上げるよう求めている。

 連邦政府は2003年に保健改革の一環として、タバコ税を3段階に分けて引き上げ、その増収分を疾病保険金庫への補助金に充てることを決定していた。しかし、昨年2度にわたってタバコ税が引き上げられたが、2004年度タバコ税収入は増加するどころか、141億ユーロから136億ユーロに減少した。タバコ販売量は1億1200万本に16%ほど減少した。専門家は、「ドイツ人はタバコ消費量を少なくしたのではなく、習慣を変えただけだ」と見ている。税率の低い細きざみの販売量は30%増加した。しかも、ドイツの半額以下の安いタバコが東欧から密輸されている。タバコ税収入減少を理由として、与党内には今年9月1日に計画されている3回目のタバコ税引き上げの取り止めを求める声が聞かれる。

 ラウターバッハ氏は、信頼できる統計がないことから、密輸量の増加を疑問視している。また、密輸タバコは若者には余り影響しないと見ている。同氏の推定によると、タバコ税引き上げにより、長期的にタバコを原因とする病気(肺がん、卒中発作など。患者12000人以上、死亡者8500人以上)を予防できるうえ、年間30億ユーロの医療支出を節約できるという。

2005年5月24日)

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