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ドイツ、欧州憲法条約を批准

 連邦参議院は5月27日(金)、賛成多数で欧州憲法条約の批准を承認した。16州のうち、欧州憲法に反対する民主社会党(PDS)が連立与党であるメクレンブルク・フォアポメルン州だけが棄権した。連邦議会がすでに5月12日(木)に欧州憲法条約の批准を承認しているため、連邦大統領が承認して批准手続きが完了する。ドイツは欧州連合で 9番目の加盟国として欧州憲法条約を批准したことになる。

 欧州憲法の起草に携わったフランスのジスカールデスタン元大統領が連邦参議院で投票前に演説し、「欧州憲法は将来のための「使用説明書」である。欧州憲法の唯一の目的は、欧州がより良く機能するようにすることにある」と語った。

 欧州憲法条約が発効するためには 25加盟国すべてがこれを批准しなければならない。しかし、フランスが5月29日(日)に、オランダが6月1日(水)に国民投票で欧州憲法条約の批准を大差で否決したため、欧州憲法条約の行方が不透明になった。EU加盟国首脳は6月16日及び17日にEU首脳会議で今後の対応策について協議する予定である。

 批准を否決した加盟国があったとしても、加盟国の5分の4(20カ国)が批准すれば、EU首脳会議で対策を検討するという首脳会議の裁量を認める付則があるため、批准手続きを続行するという見方が強い。しかし、これから国民投票を控える加盟国における地すべり的な批准拒否の連鎖が懸念されている。

 一方、英国政府6月6日(月)、来年春に予定していた国民投票を無期延期することを明らかにした。スポークスマンは、「2つの加盟国が欧州憲法条約批准を否決しているので、計画していた国民投票を続行することは意味がないと思われる」と語った。ブレア首相は、欧州連合の将来、特にその経済の問題について広範に論議しなければならないとして、「熟考のための中休み」の必要性を強調していた。最近のアンケート調査結果によると、英国人の72%が欧州憲法条約の批准に反対している。欧州委員会は批准手続き中止の一方的な宣言をしないように加盟国に訴えていた。

2005年6月6日)

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