ドイツのニュース

CDU/CSU、連邦首相候補にメルケル氏を指名

 キリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)の合同幹部会は5月30日(月)、シュトイバーCSU党首の提案に基づいて、今年9月に前倒しされる見通しとなった総選挙のCDU/CSU連邦首相候補にアンゲラ・メルケルCDU党首を全員一致で指名した。メルケル氏はドイツ初の女性首相候補者であり、総選挙でCDU/CSUが第一党になれば、ドイツ初の女性首相が誕生する。

 メルケル氏(50歳)は旧東独出身で、物理博士。宗教はプロテスタント。ドイツ統一後のコール政権下で女性青少年相、環境相を務めた。1998年にCDU幹事長に就任、2000年からはCDU党首。2002年の総選挙では連邦首相候補をシュトイバーCSU党首に譲った。

 メルケル氏は総選挙に臨むCDU/CSU政策プログラムを7月11日に発表すると語った。その主な内容は労働市場のフレキシブル化、賃金からの社会保険料切り離し、連帯的な一括疾病保険料の導入、抜本的な介護保険改革、新規債務の抑制、大規模な税制改革であるという。ただし、現在の荒廃した財政状況では、政策の財政的余地が制限されていることを指摘した。CDUは8月28日に、CSUは9月2日及び3日に党大会を開催して、CDU/CSUの首相候補者と党プログラムを承認する計画である。

 メルケル党首は記者会見で、「雇用には経済成長が必要であり、経済成長には自由が必要である。ドイツは外国よりも賃金が高いのだから、その分優れていなければならない。ドイツに必要なのは「アジェンダ 雇用」である」として、雇用創出を主要政策にすることを約束した。また、選挙戦では奇麗事を並べ立てるのではなく、勇気を持って正直に国民に政策プログラムを訴える意向を明らかにした。最後に、「私はドイツのために尽くしたい」と語った。

 2002年の総選挙では、メルケルCDU党首がシュトイバーCSU党首に首相候補を譲ったが、今回はメルケルCDU党首がノルドライン・ヴェストファーレン州議会選挙での大勝利を背景に、党内の絶対的支持の下に首相候補に指名された。シュトイバーCSU党首はメルケル首相候補を一致団結して支援することを約束した。また、シュトイバーCSU党首は、CDU/CSUが政権をとった場合にメルケル内閣の経済・財務大臣に就任するか、バイエルン州首相に留まるかは総選挙後に決定すると語った。CDU/CSUと連立政権樹立を目指す自由民主党(FDP)のニーベル幹事長は、メルケル氏の首相候補指名を「私達の連邦首相候補」として歓迎した。

2005年6月6日)

戻る