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新正書法、予定通り今年8月1日に発効

   各州の文化教育相から成る全国文相会議は6月3日(金)、ドイツ正書法審議会の審議の終了を待たずに、1998年から有効な移行期間を延長しないことを決定した。その結果、新正書法は予定通り今年8月1日に発効し、一部の規則(全国文相会議が「議論の余地がない」と判断する規則:音声・綴り規則、ハイフンの規則、大文字・小文字書き)が学校と官庁でその法的拘束力を有する。学校における採点では、1996年の新正書法の2004年版が採用される。但し、ドイツ正書法審議会が変更すると予想される規則(全国文相会議が「議論の余地がある」と判断する規則:続け書き/分かち書き、分綴、句読法)はすべて「許容条項」とみなされ、評価から除外される。「許容条項」の規則では、旧正書法が学校の採点において誤りとされない。(2004年6月7日、8月9日、10月18日のニュースを参照)

 一方、ドイツ正書法審議会は第4回目の会議で、続け書き/分かち書きにおける新正書法規則を撤回するよう勧告した。旧正書法規則に再び法的拘束力を与え、個々のケースで新正書法規則も認めるよう求めている。同審議会は、全国文相会議が「議論の余地がない」と判断する規則を今年8月1日に発効させる決定を下したことに対して、審議会を無視する行為として批判すると共に、今後も正書法改革の個々の領域で審議を継続することを明らかにした。同審議会は、全国文相会議が「議論の余地がない」と判断している大文字・小文字書きの規則にも疑問を示している。同審議会のツェーエトマイヤー議長は、いかなる方面からの圧力にも、時間的圧迫にも屈しない意向を強調した。

 正書法改革の反対者は、全国文相会議が教科書出版会社の圧力を受けて、無理に新正書法を発効させようとしていると厳しく批判している。自由民主党のスポークスマンは、ドイツ正書法審議会が審議を継続するためにあと1年間、新正書法の発効を延期するよう全国文相会議に要求した。また、キリスト教民主同盟/社会同盟のスポークスマンは各州首相に対して、正書法改革を失効させるよう求めている。ドイツ教員連盟もドイツ正書法審議会の最終結果を待ってから新正書法を発効させるべきだとして、全国文相会議の決定を批判した。

 新正書法が発効しても、8月1日から法的拘束力を持つ規則とそうでない規則が混合しており、今後も変更が予想されることから、教師、生徒、親の間で混乱が懸念されている。

2005年6月6日)

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