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連邦議会、諸法案を可決

 連邦議会は6月17日(金)、与党の賛成多数で差別禁止法案を可決した。同法案は出身(人種)、性別、信仰、年齢、障害、同性愛ゆえに人を差別することを禁止する。但し、「個人生活領域」を例外とする。同法案に反対した野党は、同法案が不必要にEU指令以上の規定になっているとして、EU指令を1対1で国内法に実施するよう要求している。また、官僚主義的業務が増え、経済界の負担になることを懸念している。野党は連邦参議院の7月8日の会議で同法案に対する異議申し立てをし、両院協議会の招集を要求する意向である。今年9月に総選挙が前倒しされる予定であることから、連邦政府が今期中に同法案を成立させることは困難と見られる。(2004年12月22日のニュースを参照)

 また、連邦議会は与党の賛成多数でハルツ法の移行期間を延長する法改正案も可決した。ハルツ法によると、2004年1月1日から失業手当 I (最後の所得に基づく失業手当)は原則的に12ヶ月間だけ支給されるが、55歳以上の失業者には最高で18ヶ月間支給される(これまでは32ヶ月間)。年配の被用者に対する信頼保護に基づき、55歳以上の失業者には2006年1月31日までの移行期間が適用され、新規定は2006年2月1日に発効する。失業者は失業手当 I の受給期間終了後は失業手当 II (社会扶助に相当)を受給する。

 それに対して、法改正案では、55歳以上の失業者を対象にした移行期間が2008年1月31日まで延長され、新規定は2008年2月1日に発効する。しかも、この延長は45歳以上の失業者全員に適用される。従って、2008年1月31日以前に失業した45歳以上の被雇用者は従来通りの期間(最高で32ヶ月間)失業手当 I を受給できる。また、45歳以上の失業者を対象にした一連の措置(職業トレーニングなど)とIch-AGの適用期間も同様に2年間延長される。

 野党は、法改正案は再び早期退職を促進することになるとして反対している。また、人気のないハルツ法の改正は総選挙のための票集めだと厳しく批判した。野党は連邦参議院の7月8日の会議で同法改正案に異議申し立てして、両院協議会の招集を要求する意向であることから、今期中の成立は難しいと見られている。

 さらに、連邦議会はグラフィティ撲滅法案も可決した。同法は刑法典における物件毀損の犯罪を補充し、裁判による物件毀損の認定を容易にする。

 一方、連邦参議院は、各州が独自の閉店規定を制定できることを規定した、連邦参議院が2004年11月に可決した法案をできるだけ早く採決するよう連邦議会に求めた。各州政府は少なくとも2006年のサッカーワールドカップ期間中の閉店規定を独自に制定したい考えである。

2005年6月20日)

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