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連邦議会、シュレーダー首相の信任動議を否決

 連邦議会は7月1日(金)、シュレーダー連邦首相が基本法第68条に基づいて提出した信任動議を否決した。賛成が151票、棄権が148票、反対が296票であった。5人の議員は憲法上の懸念を理由として投票しなかった。ミュンテフェリングSPD党首の呼びかけに従って棄権したSPD議員は249人の内140人だけで、105人は賛成した。3人は投票しなかった。多くの賛成票にはシュレーダー首相の突然の総選挙前倒し決定に対する党内の不満が表れている。緑の党では8人が棄権、46人が賛成、1人が投票しなかった。野党は反対した。(2005年5月24日のニュースを参照)

 シュレーダー首相は連邦議会を解散させて総選挙を前倒しするために、故意に信任動議を否決させた。シュレーダー首相の議会解散の提案を受けて、ケーラー連邦大統領が解散の可否を21日以内に決定する。解散が承認されれば、解散後60日以内に総選挙が実施されなければならない。夏休み明けの9月18日に総選挙が行われる見通しである。しかし、一部の議員が憲法裁判所への提訴を予定しており、総選挙前倒しの行方はまだ不透明である。基本法は政治安定化のために連邦首相に解散権を認めておらず、連邦議会の解散を厳しく制限している。

 シュレーダー首相は投票前の演説で、自らが推進する社会保障制度と雇用市場の改革ゆえに、SPDが州議会選挙で敗北したことを指摘し、安定した信任がないために現政権にはもはや政策遂行能力がないことを信任動議提出の理由とした。不可欠な改革は大きな抵抗に屈せずに貫かなければならないとして、自らの政策を継続するためには「安定した信頼できる基盤」が必要だと述べた。

 シュレーダー首相が連立与党の「不変の信任」がないことを信任動議の理由としたにもかかわらず、ミュンテフェリングSPD党首が議会演説で、「シュレーダー連邦首相がSPDの信任を受けていること、シュレーダー首相の続投を望んでいることでSPDの意見が一致している」と述べたことから、安定多数がまだ維持されているという印象を与え、連立与党を当惑させた。

 一方、緑の党のシュルツ議員は、「シュレーダー首相は安定多数を維持しており、信任動議は「笑劇」だ」として、連邦大統領が解散を決定すれば、連邦憲法裁判所に提訴すると述べた。

 ケーラー連邦大統領は7月20日頃に議会解散の可否を発表する見通しである。国民が前倒し総選挙を望んでいる一方で、専門家は今回の議会解散の憲法上の問題を指摘しており、ケーラー連邦大統領の決定が注目されている。

2005年7月4日)

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