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連邦議会、取締役所得公開法案を可決

 連邦議会は6月30日(木)、与党とキリスト教民主同盟・社会同盟の賛成多数で、取締役所得公開法案を可決した。民主社会党は棄権、自由民主党は反対した。同法案によると、株式会社は取締役一人一人の年収の詳細を年度決算書で公開することを義務付けられる。この規定は約1000社に適用される。連邦政府は任意の所得公開を勧告していたが、BMW社やダイムラー・クライスラー社、ポルシェ社、BASF社、ミュンヘン再保険会社などの企業が取締役各人の所得公開を拒否していたため、法制化に踏み切った。

 同法案は連邦参議院の同意を必要とするが、7月8日の連邦参議院の同意は確実と見られており、同法案はこの会期中に発効する見通しである。但し、各取締役の所得公開は2006年度決算書から義務付けられるため、最初の公開は2007年春になる。

 同法案によると、株式会社は各取締役の年収の詳細(業績に依存しない収入(固定給)と業績に基づく収入(ボーナスなど)、株式オプション、社宅、社用車など)を名前を挙げて年度決算書に公開しなければならない。また、承諾された年金や退職金も公開しなければならない。但し、株主が株主総会で4分の3の賛成多数でこの公開義務を拒否することができる。従って、ポルシェ社のように創設者一族が大半の株式を所有している企業が公開義務を拒否することが可能である。この拒否決定は5年間有効とする。同法に違反した場合には、最高5万ユーロの過料が科せられる。

 従来の規定では、株式会社は取締役全員の年収総額を営業報告書に記載することを義務付けられており、現在、Dax上場企業30社の内、20社だけが取締役一人ひとりの年収を任意に公開している。ツィプリース連邦法務相は、同法は好奇心を満たすためではなく、株主の権利を強化することを目的としていると語った。

2005年7月4日)

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