オバサンの独り言 先日の新聞に、ミュンヘン市内・近郊の無賃乗車が増えているという記事が載っていた。ミュンヘン交通企業体連合MVVが1年前にスタートした無賃乗車撲滅キャンペーンで乗車券コントロールを厳しくしたためらしい。頻繁になったコントロールと罰金40ユーロに怖けることもなく、近郊電車S-Bahnで乗車券をコントロールされた人の2,5%が無賃乗車 だった。市内のバス・市電・地下鉄では2,3%。毎年、延べ1500万人が無賃乗車をしており、その損害はバス・市電・地下鉄だけでも年間900万〜1400万ユーロに達するとか。 乗車券コントロールで無賃乗車が見つかった人の多くは言い訳もせず、名前と住所を言って無賃乗車罰金請求書(?)をもらっている。心の中では「シマッタ!」と悔しがっているのだろうが、恥ずかしそうな様子もなく、実に淡々としている。コントロールする職員の方もビジネスライクだ。言い争いなどはめったに起こらない。 もちろん、故意に無賃乗車している人が大半なのだが、 時には乗車券に乗車時刻のスタンプをするのを忘れたり、月替わりに気づかずに定期券の購入を忘れてしまった人もいるだろう。月の初めは特にコントロールが多いのだ。よりによってうっかり忘れた時にコントロールされたら、運が悪かったと 諦めるしかない。MVV側にしても一々言い訳を聞いていたら切がない。「無賃乗車は無賃乗車、バスタ!(これ以上つべこべ言うな)」と極めて合理的である。 私は最近の地下鉄で、無賃乗車する人だけでなく、高齢者に席を譲る人もよく見かけるようになった。新しいデザインの地下鉄車両の所為ではないかと思う。日本の電車のように横にズラッと並ぶ座席が増えたのである。二人ずつ向かい合う四人掛けの席とは違って、立っている人が座っている人の直接前に来るので、譲らざるを得なくなるというか、譲り易くなったのではないだろうか。日本のように寝たふりをする人もいないし…。 「横並びの座席でも各席が分かれているので、狭い隙間に無理やり座ろうとする人がいないのもいい」とか、「高い所に設置されている鉄の横棒の代わりに吊り革があったらいいのになあ」とか、あれこれ思いながら車内を見回していると、若者がスッと立って、通りかかった老人に席を譲る光景が目に入った。とってもうれしい気持ちになっていたら、 今度は窓ガラスに大きく「CRAZY」と落書きされているのが見えた。 真新しい車両の窓ガラスに鋭い刃物で落書きしたCRAZYな若者(?)に無性に腹が立った。 (2005年7月4日)
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