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連邦内閣、経済成長促進プログラムを決定

 連邦内閣は、経済成長と雇用創出の促進を目的として2009年まで約250億ユーロを追加投資する経済成長促進プログラムを決定した。その内訳は、研究開発(60億ユーロ)、中小企業と経済の活性化(約94億ユーロ)、交通への投資拡大(43億ユーロ)、家族の助成(30億ユーロ)、「使用者としての個人世帯」のための税制上の優遇措置(手工業者の助成)(25億ユーロ)である。州と市町村の追加措置を加えると、追加投資総額は約370億ユーロになる。今後、諸法案を作成して、連邦議会に提出する予定である。

 家族の助成では、税制上の優遇措置として育児コストの控除に毎年4億6000万ユーロを投資する。控除は二段階から成り、0~6歳の児童に対しては、年間1000ユーロを超えた分の育児コストを控除できる。但し、控除額は年間4000ユーロを上限とする(控除対象の育児コスト1001~4000ユーロ)。7~14歳の児童に対しては、年間4000ユーロまでの育児コストを控除できる(控除対象の育児コスト1~4000ユーロ)。この税金控除は共稼ぎ家庭にのみ適用される。

 また、父母手当てが2007年1月から導入される。その金額は実質所得の67%、最高で月額1800ユーロ。母親(ないし父親)だけが育児休業する場合には10ヶ月間支給され、父親(ないし母親)も最低2ヶ月間育児休業する場合には全部で12ヶ月間支給される。

 経済成長促進プログラムは中小企業の助成に重点ており、全部で約140億ユーロを投資する予定である。中小企業は特に売上税規定の改正と減価償却条件の改善(2006年と2007年は30%の減価償却可能)の恩恵を受ける。この改正は今年1月1日に遡って発効する予定である。また、手工業者助成の一貫として(不正労働の阻止)、一般世帯が家を改築、修理した場合に、手工業者の請求額(材料費を除く)の最高600ユーロを控除できる。

 連邦政府は研究及びテクノロジー分野への投資の割合を国内総生産の3%に引き上げることを目標としており、連邦から60億ユーロ、州から40億ユーロ、経済界から200億ユーロの投資が見込まれている。

 エネルギー政策では、「エネルギー首脳会議」を4月初旬に開いて、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)の異なる原子力発電政策、その他のエネルギー政策について話し合うことで合意した。また、賃金政策では、ミュンテフェリング労働・社会相が作業部会を設置して、資格のない失業者のための低賃金政策コンセプトを年末までに作成することで合意した。SPDが支持する「最低賃金(Mindestlohn)」とCDU/CSUが支持する「複合賃金(Kombilohn 国が賃金の一部を補助)」の妥協策を模索する。疾病保険改革についてもSPD(市民保険)とCDU/CSU(一括保険)は妥協策を目指し、今年中に法案を提出する。

 メルケル首相(CDU)とミュンテフェリング副首相(SPD)は閣議後の記者会見で、このプログラムは経済成長への転轍であり、合意結果に満足していると語った。メルケル首相は、連立与党内の「信頼関係」を深めることも会議の目的であったと述べた。

 シュタインブリュック財務相は、経済成長促進プログラムの目的は2007年の付加価値税引き上げに備えて経済に梃入れすることである」として、「同プログラムは個人投資を促し、明るくなりつつある景気の追い風になる」と語った。また、「経済成長促進と財政立て直しを切り離すことはできない」と強調した。

 それに対して、野党は、政府のプログラムでは国民経済への効果はほとんど期待できないと批判している。

2006年1月16日)

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