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介護保険、約5億ユーロの欠損

   法定介護保険は子どものいない被保険者の保険料率を2005年1月1日に0,25ポイント引き上げたにもかかわらず、2005年も大きな欠損を計上する見通しであることがドイツ連邦銀行の月間報告で明らかになった。2005年9月末の時点で欠損は5億500万ユーロに達している。連邦銀行の専門家は、2005年の欠損は前政権が見込んでいた2億ユーロの2倍以上になると予想している。介護保険の準備金は2005年に支出の約2ヶ月分に縮小すると見られる。法律では、介護保険の準備金は支出の最低1,5か月分を保持しなければならないと規定されている。

 介護保険の欠損は2005年度第1四半期が2億5900万ユーロ、第2四半期が1億2300万ユーロ、第3四半期が1億2300万ユーロであった。第4四半期はクリスマス手当てからの追加収入があるため、2005年の欠損は5億ユーロを下回ると見られている。連邦保健省のスポークスマンは、2005年の欠損は約4億ユーロになる見通しだと語った。2004年は過去最高の欠損8億2000万ユーロを計上していた。

 経済諮問委員会のリュールップ委員長は、賦課方式から積み立て方式への切り替えは「まだ遅すぎない」として、介護保険改革の推進を政府に求めた。ドイツ使用者連盟のフント会長は、政府が夏までに介護保険の持続的財政に関する法案を提出する計画であることを歓迎すると語った。

 一方、自由民主党のスポークスマンは、「子どものいない被保険者の保険料率を引き上げても財政状況は改善しなかった」として、「今年中に賦課方式から積み立て方式へのシステム変更を実施しなければならない」と述べた。

 連邦政府は今年夏までに介護保険建て直しコンセプトを作成する計画である。高齢化に備えた積み立て方式による準備金の構築、法定介護保険と民間介護保険の財政調整、認知症患者へのサービスの拡大、施設介護コストの削減などを内容とするコンセプトになる見通しである。

2006年1月16日)

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