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財団「商品テスト」、W杯競技場には欠陥あり

    財団「商品テスト」は1月10日(火)、サッカーワールドカップが開催される12の競技場で行った安全テスト結果を発表した。財団「商品テスト」の評価基準は法律上の遵守事項の履行ではなく、今日の研究・技術水準である。テスト結果によると、ベルリン、ライプチッヒ、ゲルゼンキルヒェン、カイザースラウテルンの競技場には安全性で「重大な欠陥」があることが明らかになった。ハンブルク、フランクフルト、シュツットガルト、ドルトムントの競技場には「明白な欠陥」、ミュンヘン、ハノーバー、ニュルンベルク、ケルンの競技場には「僅かな欠陥」があると評価している。

 ベルリン、ライプチッヒ、ゲルゼンキルヒェンの競技場では、グラウンドへの避難路が遮断されているために、パニックに陥った場合に観客の生命が脅かされる危険性があるという。スタンドには、パニック状態になったときにグラウンドの方向へ降りていくように避難路が指示されているが、様々な障害物(スタンドとグラウンドの間の深い溝、フェンスなど)と袋小路が生命を脅かす危険性が高い。狭い通路、急傾斜の階段、観衆の殺到などがさらにリスクを高めるという。また、カイザースラウテルンの競技場は特に防災対策に著しい欠陥が指摘された。

 財団「商品テスト」は国際サッカー連盟(FIFA)と競技場運営者に安全対策の改善を求めた。それに対して、競技場運営者とW杯組織委員会は、「競技場は安全であり、64の試合に危険は全くない」として、財団「商品テスト」の調査結果に激しく抗議した。但し、改善できるところは改善するという。W杯組織委員会のベッケンバウアー会長は、「財団「商品テスト」は恐らく、洗顔クリームやオリーブ油、掃除機のことには詳しいのだろうから、その領域に留まるべきだ」と述べ、「知ったかぶり」を批判した。

 ショイブレ連邦内務相はヒステリーにならないように警告している。12の競技場は現行の規格に基づいて建設ないし改築されているが、財団「商品テスト」の懸念を真剣に受け止めなければならないと語った。

 第二次世界大戦後、これまでにサッカー競技場では60件の大きな事故が発生し、全部で1500人の死者、1万人の負傷者を出している。ほとんどの事故が出入口での観衆パニックと殺到による将棋倒しに起因している。

2006年1月16日)

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