オバサンの独り言 日本では、記録的な大雪による被害が深刻になっているようだ。すでに多くの被害者を出している。特に、雪下ろし中に転落したり、落ちてきた雪の下敷きになったり、作業中に心臓発作などを起こして死亡する高齢者が多いという。昔は家族や近所の若い人たちが除雪していたのに、今では高齢者だけの世帯が多くなり、過疎化が進んでいることがその要因として指摘されている。 ドイツでも大雪の被害があちこちで出ている。昨年末にはノルドライン・ヴェストファーレン州のミュンスターランド地方で、電力網が積雪による被害を受けた。厳しい寒さの中、数日間停電となり、私達の豊かで便利な 生活がいかに電気に依存しているかを思い知らされた。また、バイエルン州では、バート・ライヒェンハレのスケート場の屋根が積雪のために崩壊して、多くの死者を出した。山での雪崩による事故、高速道路での雪や路面凍結による事故は後を絶たない。 毎年のことながら、ミュンヘンでも路面凍結に悩まされる。繁華街や大通りはすぐに除雪され、歩道は滑らないように小さな砂利がまかれるので、一応安心して歩けるが、住宅街の除雪は不十分で、危ない。住民は、自分の家の前の歩道と歩道から玄関までの道を除雪することを義務付けられている。除雪していなかったために誰かがそこで滑って怪我をしたら、その家の住民が補償しなければならない。雪が降り続いた時の除雪は、高齢者には大変な作業である。 ところが、この義務化されている除雪をしない住民がいるから困る。私が住んでいる通りにもちゃんと除雪をしない家が何軒かあるが、高齢者の世帯ではなく、中年夫婦の世帯なので余計に腹が立つ。しっかり除雪しておかないと、路面が凍結してしまい、まるでスケートリンクのようにツルンツルンで非常に危険だ。だから、凍結した歩道を見るたびに、お年寄りが滑って転びはしないかと心配になる。 大雪や猛暑は自然現象である。「だから仕方がない」と私達は諦めてきたが、お年寄りだけの世帯が増えてくる社会では、自然現象への対応でも私達の認識を変えなければならない。 現在の経済的繁栄を担ってきた団魂の世代が現役を退こうとしている。第二の人生では高齢化社会の担い手として、地域の担い手として社会に貢献するのはどうだろう。団魂の世代のバイタリティーと豊富な経験、知識を活用しないのは「もったいない」。地域の活性化、老人と子供にやさしい地域づくりのためのアイディアを募り、地域住民の助け合いネットワークなどを構築して、自治体に発破をかければ、尻の重いお役所も動き出すのではないか。積極的な住民参加があれば、自治体も自然災害のときにもっと適切かつ敏速に対応するのではないだろうか。 (2006年1月16日)
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